著者
Takahisa USHIROYAMA Chisato KIUCHI Hiroko KOMURA Tamaki MATSUMOTO Mina MORIMURA
出版者
Japanese Soiety of Psychosomatic Obstetrics and Gynecology
雑誌
Journal of Japanese Society of Psychosomatic Obstetrics and Gynecology (ISSN:13452894)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1-2, pp.327-335, 2007-04-30 (Released:2017-01-26)

DSM-IVによりpre-menstrual dysphoric disorder (PMDD)と診断された61例に対し,十分なインフォームド・コンセントの後, 36例にフルボキサミンを連続投与し,症状の変化をdaily symptom report (DSR), STAI, SDSおよびWHO QOL26にて評価し,薬剤非投与群(コントロール)と比較した.フルボキサミン投与1周期目に,気分(32.0±27.2),行動(35.9±27.9)および痛み(9.8±11.6)の黄体後期の5日間平均DSRスコアは,投与前(それぞれ55.0±31.4, 49.2±26.8,および16.7±15.5)に比べ有意に低下した(P<0.05).一方,コントロールではスコア変化はなかった. WHO QOL26では,フルボキサミン投与により,精神的項目(18.8%),身体的項目(14.2%)および社会的項目(11.7%)において有意に(それぞれP<0.01, P<0.01およびP<0.05)スコアの増加(QOL向上)が観察された.特に,「生活の質について」,「健康状態について」の質問項目では,フルボキサミンの服用で前者は1周期目に21.4% P<0.05),後者は3周期目に27.4%のスコアの増加(QOL向上)が認められた(P<0.01). PMDDに対するフルボキサミンの連続投与は,黄体期後期の気分,行動および痛みの症状を軽減させ,低下しているQOLを向上させる効果が期待できることがわかった.