著者
漆畑 貴久 ウルシバタ タカヒサ Takahisa Urushibata
雑誌
嘉悦大学研究論集
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.71-86, 2008-12-19

幇助行為の存否について判断する際に、裁判例においては、幇助行為をしたとされる者の主観面の評価が行われる。これは、定型性が穏やかで、その成立範囲が不明確になりがちな幇助犯の処罰範囲を明確化・厳格化することを意図するものであり、幇助犯の成否の判断においては重要な意義を有していると考えられる。本稿は、幇助行為の意味を整理し、幇助行為をしたとされる者の主鏡面について評価した近時の裁判例を概観し、そのうえで、その主鏡面が幇助行為の存否の判断にどのような影響を及ぼしているのかを検討することを目的とするものである。