著者
細矢 智子 Tomoko HOSOYA
雑誌
紀要 = Bulletin : Tsukuba International Junior College (ISSN:13433879)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.171-179, 2006-06-20

本研究の目的は,基本的な看護技術である食生活の援助技術における食事介助の演習で,患者役割体験を行うことによる学習効果を明らかにすることである。演習時の患者の状況として,側臥位で食事を摂取する体位の制限,目隠しをして食事を摂取する視覚の制限,上肢の使用を禁止する上肢機能の制限の三つパターンを設定し,看護師役割・患者役割に分かれて食事介助の演習を行った。演習後の40名の学生のレポートを内容分析した結果,1)患者心理に関する記述,2)障害や体位の制限による食事動作の難しさに関する記述,3)食事介助の要点に関する記述,4)自分で食べられることへの感謝に関する記述,5)看護師役の学生に対する要望に関する記述,の5つのカテゴリーが抽出された。これにより,患者役割を体験することで,学生に患者の理解と看護技術を工夫する視点の理解が得られ,演習における患者役割体験の意義が示唆された。