- 著者
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UCHIBORI Chie
- 出版者
- 東京女子大学言語文化研究会
- 雑誌
- 東京女子大学言語文化研究 (ISSN:09187766)
- 巻号頁・発行日
- vol.23, pp.16-35, 0000
この論文では、戦後の中学校の学習指導要領を分析することで、日本の英語教育の変遷を考察した。中学校は義務教育であり、その中で英語教育は途中から必修科目に変わったものの、戦後からずっと英語は学ばれてきた。学習指導要領は英語教育をどのような目的をもって行うのかが規定されているため、それを分析することで日本の英語教育の変遷を知ることができる。この論文では、学習指導要領を1)言語の4技能、2)コミュニケーション能力、3)国際理解、4)教育内容の政策の4つのキーワードに絞って分析した。この4つの問題の分析から、学習指導要領の英語に関する記述はその内容から3つの時代区分に分けられることがわかった。第1期(1947-1958):言語とその文化をともに学ぶことが目的第2期(1969-1977):実際的な外国語教授法が反映された内容へ変化第3期(1989-2012):知識としてではなく英語を実際に使えるようになることが目的国際理解の面でも、英語圏の人々についてだけではなく、日本も含めた世界を知ることに対象が変わってきた。つまり、日本の英語教育の目的は、次第に使えるようになるために言語そのものを学ぶことと、国際情勢を知るためのそれぞれに明確になった。すなわち言語面での目的は英語の実用能力の育成へと具体化され、他方、国際理解がはっきりと打ち出されるようになってきた変遷が明らかになった。