著者
正田 悠 阪田 真己子 Williamon Aaron
出版者
日本音楽知覚認知学会
雑誌
音楽知覚認知研究 (ISSN:1342856X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.35-55, 2017 (Released:2022-01-05)
参考文献数
37

音楽演奏に対する心理的評価に,演奏者と鑑賞者が同じ時間や空間を共有する生演奏が及ぼす影響を調べた。総計110人の鑑賞者に,ヴァイオリンの生演奏あるいは録音演奏の印象について,連続評定(鑑賞中)と全体評定(鑑賞後)で評価してもらった。その結果,曲想の異なる2曲に共通して,生演奏では録音よりも全体的に高い評価がなされ,楽曲の感情的ニュアンスがより明確に受け取られることが示された。その一方で,連続評定の時系列変化については,生演奏では「快・不快」や「覚醒度」の評価が録音よりも抑えられたものになることが示された。このことは,生演奏鑑賞中と鑑賞後の評価が必ずしも一致しないことを示唆する。