著者
金山 泰子 二宮 理佳 カナヤマ ヤスコ ニノミヤ リカ Yasuko KANAYAMA Rica NINOMIYA
雑誌
ICU 日本語教育研究 = ICU Studies in Japanese Language Education
巻号頁・発行日
no.3, pp.3-31, 2007-03-31

本稿では、アンケート調査を通し、非母語話者と母語話者の「はい」「ええ」に関する認知・解釈、使用状況を比較した。アンケートの対象者は母語話者29名(うち日本語教師14名、一般日本人15名)、非母語話者15名である。調査の結果、以下のような対比が浮かび上がってきた。(1)非母語話者は母語話者と比べ、主に待遇面に着目して「はい」「ええ」を使い分けている。(2)母語話者はもとより、非母語話者にも、「はい」と「ええ」を使い分けることにより話者間の距離をコントロールしようという意識のある人もいる。(3)非母語話者は母語話者に比べ、積極的な態度表明として「ええ」を使う認識は低い。(4)非母語話者は母語話者に比べ、「ええ」の使用頻度が低い。さらに、これらの結果を踏まえ「ええ」の機能について再考察を試みた。その結果、「ええ」の機能・効果には予想以上の幅があり、特に母語話者には個々の認識にも顕著な違いがあることが明らかになった。