- 著者
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二宮 理佳
金山 泰子
- 出版者
- 国際基督教大学 日本語教育研究センター
- 雑誌
- ICU 日本語教育研究 = ICU Studies in Japanese Language Education (ISSN:18800122)
- 巻号頁・発行日
- no.6, pp.3-24, 2010-03-31
本稿では、テレビ映像を用いたインタビュー調査を3名の被験者を対象に実施し、「はい」「ええ」の使い分け、および「ええ」の機能について考察を試みた。調査の結果、先行研究および筆者らの考察結果が再確認されると共に、被験者から新たな示唆が得られた。まず、「はい」には、先行研究で言われているように、「フォーマルで丁寧」、「談話設立・維持・進行」の機能、「ええ」には「同意・共感」の機能があると認識されていることが確認された。さらに筆者らがこれまで考察してきた「主張を込める」、「既知の情報に対する応答」などの「ええ」の機能を認識していると思われる回答が見られた。また「ええ」の認識には個人差があるということや、「はい」「ええ」どちらかのみを使うとその応答詞の持つ機能がマイナスに作用する結果になってしまうという側面も再確認された。「はい」のみならば「固い」、「楽しさがない」、「話しにくい」などの被験者のコメントに、それぞれの応答詞の機能がマイナスに現れてしまった様子が見てとれる。さらに、被験者は3名とも「はい」「ええ」を適宜織り交ぜて使用することが適切で自然だと指摘している。これは、先行研究および筆者らのこれまでの調査結果からは見出されなかった新しい点である。