著者
神田 靖子 Yasuko Kanda
出版者
同志社大学留学生別科
雑誌
同志社大学留学生別科紀要 = Bulletin of Center for Japanese Language Doshisha University (ISSN:13469789)
巻号頁・発行日
no.1, pp.77-91, 2001-12-25

これまでの研究において「のだ」は「認識モダリティ」を表すという説が一般的であった。しかし,泉子・K・メイナード(2000)は「のだ」には「情意」を表す機能があることを指摘しており,彼女の言う「情意」とはモダリティの側面からいえば「発話・伝達モダリティ」に属するものである。なぜ「のだ」に二つのモダリティが認められるのであろうか。本稿はこのようなモダリティの食い違いは「のだ」に二種の機能があることに原因すると見て,「主観的論理の「のだ」」と「情意の「のだ」」があることを示す。そして,とりわけ後者が話し手の発話伝達における心的態度を直接的に表現するものとして,その語用論的機能を観察する。