著者
神田 靖子 Yasuko Kanda
出版者
同志社大学留学生別科
雑誌
同志社大学留学生別科紀要 = Bulletin of Center for Japanese Language Doshisha University (ISSN:13469789)
巻号頁・発行日
no.1, pp.77-91, 2001-12-25

これまでの研究において「のだ」は「認識モダリティ」を表すという説が一般的であった。しかし,泉子・K・メイナード(2000)は「のだ」には「情意」を表す機能があることを指摘しており,彼女の言う「情意」とはモダリティの側面からいえば「発話・伝達モダリティ」に属するものである。なぜ「のだ」に二つのモダリティが認められるのであろうか。本稿はこのようなモダリティの食い違いは「のだ」に二種の機能があることに原因すると見て,「主観的論理の「のだ」」と「情意の「のだ」」があることを示す。そして,とりわけ後者が話し手の発話伝達における心的態度を直接的に表現するものとして,その語用論的機能を観察する。
著者
入江 さやか Sayaka Irie
出版者
同志社大学留学生別科
雑誌
同志社大学留学生別科紀要 = Bulletin of Center for Japanese Language Doshisha University (ISSN:13469789)
巻号頁・発行日
no.4, pp.31-40, 2004-12-25

現代日本語において,実際に用いられている形容詞を選出し,その語幹の音韻構造について調査した。4冊の国語辞書のうち,3冊以上の辞書に掲載されている形容詞を選出すると,ク活用形容詞452語,シク活用形容詞272語,合計724語である。そのうちの和語650語について,出現位置別に音素分布表を作成し,和語3拍名詞と比較すると,語頭に現れる母音音素,子音音素は,和語3拍名詞,和語形容詞ともにほとんど同じであった。ただし,和語形容詞語幹末の母音音素は,著しく偏った音素分布を見せる。すなわち,和語2拍名詞の場合は,/i/のあと,/a/ /e/ /o/ /u/と続く。和語3拍名詞の場合は,/i/のあと,次に多いのは,/e/であり,続いて/a/ /o/ /u/という順になる。名詞の場合は,/i/ /e/で終わるものが多いと言える。それに対し,形容詞語幹の場合は,/a/が最も多く出現し,/i/ /e/はほとんど出現しない。
著者
山口 育子
出版者
同志社大学留学生別科
雑誌
同志社大学留学生別科紀要 (ISSN:13469789)
巻号頁・発行日
no.5, pp.105-116, 2005-12

「ニュース抄録」は,前週一週間のニュースを「政治」「国際」「経済」「社会」の分野別に,要約したものである。選んだ記事に番号を振り,別紙に,難解語句の読み,連語,反意語などを記して毎回配布した。授業では,この別紙の該当部分を範読した後,斉読し,記事を一人が読み上げるという形を繰り返して読み進んだ。適宜,自由意見交換を織り交ぜた。全体を通した資料と,記事に即した資料とを準備し配布して,授業に取り入れた。世界地図と日本地図で,場所を示して確認させた。副教材として,新聞記事に頻出する語句を選定し,ルビを付した一覧表を分野別に作成した。これを適宜,授業の中に組み入れた。学期開始の2回目から,授業の前半に「ニュース抄録」を,後半に「学生が選んだ記事」を読む,という二本立ての形態にした。学生二人を担当者にあてて,キー・ワードを5つ書き添えた記事を事前に提出させた。授業では担当者が選んだ理由を述べた後,読み上げ,読後に質疑応答を設けた。毎回「記事に対する感想,疑問,意見」シートを宿題にして提出させた。文法チェックとコメント付記して返却し,個別の問題意識に対応した。学生は国際情勢や日本の社会問題に関心をもっている。記事がクラスの皆で考える素材となり,感想や疑問などの発言にも多彩な展開が見られた。実践報告(Practice Report)