著者
中家 洋子 Yoko Nakaya
出版者
四條畷学園短期大学
雑誌
四條畷学園短期大学紀要 (ISSN:18811043)
巻号頁・発行日
no.42, pp.27-35, 2009

終末期ケアに関する調査によると、利用者や家族がもっとも不安や揺らぎを感じるのは在宅療養前であることが明らかにされている。本研究では、在宅終末期ケアの現状を先行研究や制度から概観し、事例を通じて介護支援専門員(以下「ケアマネジャー」という)の在宅移行期の課題を整理し、役割を検討した。先行研究より在宅医療を重視した医療や福祉制度の推進で環境は整備されてきているが、現実には困難な状況が明らかにされた。また事例検討の結果、安心して在宅生活に移行するためには、本人家族の意思表示が明らかであること以外に、ケアマネジャーの役割として(1)入院による状態の変化を丁寧にマネジメントし退院後の1日の生活の流れを利用者・家族が具体的にイメージできるようにすること(2)できるだけ早期から利用者・家族と関わり、担当者会議を実施し情報の共有や目標の設定を行なうこと(3)利用者のストレングスを把握し活用することが必要であることが明らかになった。