著者
松岡 是伸 Yoshinobu MATSUOKA
出版者
名寄市立大学
雑誌
紀要 = Bulletin of Nayoro City University (ISSN:18817440)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.97-108, 2017-03

本稿の目的は、ある地方自治体で実施されている福祉的貨幣貸付制度に着目し、援助者の観点から利用者の生活状況と利用実態を明らかにしていくことである。そのうえで利用者の生活困窮の複合しやすさや生活の不安定さをつまびらかにしていく。そのため貸付業務の担当職員で相談援助歴が5年以上の4名を対象にインタビュー調査を行った。その結果を修正版グランデッド・セオリーで分析し、主に利用者の生活状況や生活困窮の複合状況、生活の自転車操業的状況、貸付制度の利用と返済過程、申請・利用に伴う諸問題を示した。そこで第1に、生活困窮の複合のしやすさは、利用者の生活能力の困難さや環境的制約によってもたらされていること、第2に、制度利用によって利用者の生活が自転車操業的になり「不安定の中の安定」という状況を招いていたことが明らかとなった。またスティグマが制度を利用しようとする人々のアクセシビリティを阻害していることが示唆された。
著者
松岡 是伸 小山 菜生子 Yoshinobu MATSUOKA Naoko KOYAMA
出版者
名寄市立大学
雑誌
紀要 = Bulletin of Nayoro City University (ISSN:18817440)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.21-29, 2012-03-31

本稿の目的は児童養護施設におけるソーシャルワーク実践事例を用いて,ソーシャルワークの機能を明確にしていくことである。その意義は実践事例の分析と検討からソーシャルワーク実践理論の研究的積み上げに多少なりとも貢献できるからである。 その結果,ソーシャルワーク機能は子どもの生活援助・支援においては随所に活用されていた。直接的援助機能やケースマネージャー機能,保護機能などが実践では多く活用され,子どもの成長と発達によってソーシャルワーク機能は広範囲にわたり活用されることなどが明らかになった。