著者
松岡 是伸
出版者
名寄市立大学
雑誌
紀要 (ISSN:18817440)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.69-89, 2007-03
被引用文献数
1

本研究は日本の生活保護行政の「濫給防止」的制度運用が、生活保護制度にスティグマを付随させたことを明らかにする。そのために生活保護行政(主に監査)に着目し,その制度運用について戦後から1990年代までを議論の俎上にあげ,分析・検討・記述等を行った。
著者
松岡 是伸
出版者
名寄市立大学
雑誌
名寄市立大学社会福祉学科研究紀要 (ISSN:21869669)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.49-64, 2016-03-31

本研究ノートは、北海道A市における生活困窮者自立支援促進モデル事業に関する導入過程や取り組みに対してインタビュー調査を行ったものである。その目的は生活困窮者自立支援促進モデル事業を地方レベル(地方自治体レベル)において記録しておくことである。また研究ノートという性格を利用し、インタビュー内容をすべて掲載し、今後の調査研究のために、基礎データとして活かしてもらえるようにした。
著者
松岡 是伸
出版者
名寄市立大学
雑誌
名寄市立大学社会福祉学科研究紀要 (ISSN:21869669)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.19-30, 2013-08-31

本稿はイギリスのソーシャルポリシー研究者であるティとマス(Richard Morris Titmuss)に着目し、ソーシャルポリシーにおけるスティグマや反福祉をどのように据え、位置づけていたかに言及し、スティグマの付与や特徴、構造を明確にすることが目的である。その結果、ティとマスによるとスティグマは、文化的受け入れがたい攻撃的な言葉で用いられており、スティグマを負う人々は自身の経験から生活を再定式化していた。またスティグマによって再定式化された生活は人々の要保護性の創出につながっていた。そしてソーシャルポリシーにおけるスティグマを最小化するためには、反福祉的状況を改善していかなけばならないことが明らかとなった。これらのことからソーシャルポリシーにおけるスティグマを把握するためには、社会全体の反福祉的状況を把握する必要があることが明らかとなった。
著者
松岡 是伸
出版者
名寄市立大学
雑誌
紀要 (ISSN:18817440)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.45-52, 2014-03-31

本稿ではピンカーのスティグマに関する見解に着目しスティグマがどのように据えられ、位置づけられレイルのかを整理、分析することでスティグマの付与、構造、形成要因などを明確にしていくことが目的である。その結果、ピンカーはスティグマを民主主義社会において課される心理的暴力であり、制裁としてのスティグマの付与を明確にしていた。そして福祉サービスの互酬性に着目しスティグマは依存的な地位と同一であることに言及していた。そのうえで、スティグマがソーシャルポリシーの供給と受給レベルにおいて制裁として課されるには、依存性という地位が機能しなければならない構造が明らかとなった。本研究を総合的にまとめるとピンカーは、福祉サービスの供給と受給に対する感受性とスティグマとの間に深い関連性があると据えていたことが明らかになった。
著者
松岡 是伸 Yoshinobu MATSUOKA
出版者
名寄市立大学
雑誌
紀要 = Bulletin of Nayoro City University (ISSN:18817440)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.97-108, 2017-03

本稿の目的は、ある地方自治体で実施されている福祉的貨幣貸付制度に着目し、援助者の観点から利用者の生活状況と利用実態を明らかにしていくことである。そのうえで利用者の生活困窮の複合しやすさや生活の不安定さをつまびらかにしていく。そのため貸付業務の担当職員で相談援助歴が5年以上の4名を対象にインタビュー調査を行った。その結果を修正版グランデッド・セオリーで分析し、主に利用者の生活状況や生活困窮の複合状況、生活の自転車操業的状況、貸付制度の利用と返済過程、申請・利用に伴う諸問題を示した。そこで第1に、生活困窮の複合のしやすさは、利用者の生活能力の困難さや環境的制約によってもたらされていること、第2に、制度利用によって利用者の生活が自転車操業的になり「不安定の中の安定」という状況を招いていたことが明らかとなった。またスティグマが制度を利用しようとする人々のアクセシビリティを阻害していることが示唆された。
著者
松岡 是伸
出版者
名寄市立大学
雑誌
名寄市立大学社会福祉学科研究紀要 (ISSN:21869669)
巻号頁・発行日
no.1, pp.45-58, 2012-03

本研究ノートは,北海道道北圏における披占領期社会福祉(社会事業)政策を地方軍政活動報告書から紹介することを目的としている。そのため「領期都道府県資料の収集整理及び分析とその効果的な公開利用方式の確立」(平成14年)先行研究から、北海道道北圏に着目しながら紹介・考察をおこなった。その結果、北海道道北圏の披占領期社会福祉(社会事業)政策の実態を地方レベルで考察・概観することができた。
著者
松岡 是伸
出版者
名寄市立大学
雑誌
名寄市立大学社会福祉学科研究紀要 (ISSN:21869669)
巻号頁・発行日
vol.2, 2013-08-31

本稿はイギリスのソーシャルポリシー研究者であるスピッカーのスティグマに関する見解に着目し、ソーシャルポリシーにおけるスティグマをどのように据え位置づけていたか、さらにはスティグマの概念、付与過程、特徴、構造などを明らかにすることが目的である。 その結果、スピッカーのスティグマに関する見解からスティグマは不名誉な徴であり恥辱の感受や差別的経験、人間的尊厳の喪失、憐憫の対象であり、それによってスティグマを負う人々は力を失っていく経験をしていた。そしてスティグマを負う人々は自分自身のモラルキャリアから生じるスティグマの問題と、構造化された社会関係から生じるスティグマの問題の双方に影響され社会的位置や環境が規定されていた。 スティグマとソーシャルポリシーとの関係では、スティグマは社会的、文化的、経済的幅広い社会的文脈において規定されており、スティグマの問題を解決する単一の方法は存在しない等の視点が明らかとなった。
著者
松岡 是伸 小山 菜生子 Yoshinobu MATSUOKA Naoko KOYAMA
出版者
名寄市立大学
雑誌
紀要 = Bulletin of Nayoro City University (ISSN:18817440)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.21-29, 2012-03-31

本稿の目的は児童養護施設におけるソーシャルワーク実践事例を用いて,ソーシャルワークの機能を明確にしていくことである。その意義は実践事例の分析と検討からソーシャルワーク実践理論の研究的積み上げに多少なりとも貢献できるからである。 その結果,ソーシャルワーク機能は子どもの生活援助・支援においては随所に活用されていた。直接的援助機能やケースマネージャー機能,保護機能などが実践では多く活用され,子どもの成長と発達によってソーシャルワーク機能は広範囲にわたり活用されることなどが明らかになった。