著者
Yoshiya Maegawa Shinichi Mochizuki Noriko Miyamoto Yusuke Sanada Kazuo Sakurai
出版者
FCCA(Forum: Carbohydrates Coming of Age)
雑誌
Trends in Glycoscience and Glycotechnology (ISSN:09157352)
巻号頁・発行日
vol.27, no.153, pp.13-29, 2015-01-25 (Released:2015-01-23)
参考文献数
64
被引用文献数
1

β-1,3-D-グルカンの一種であるシゾフィラン(SPG)はホモ配列のオリゴデオキシヌクレオチド(ODN)と水素結合や疎水性相互作用によってODN/SPG複合体を形成する。また、マクロファージや樹状細胞などの抗原提示細胞上には、β-1,3-D-グルカンの受容体であるデクチン-1が発現している。そのため、この複合体を用いることで、アンチセンスODN(AS-ODN)や非メチル化CpG配列を持ったODN(CpG-ODN)を抗原提示細胞に特異的に送達することが可能になると考えられる。実際、AS-ODN/SPG複合体をリポ多糖誘導型マウス肝炎モデルに投与したとき、炎症を抑えることができた。また、カニクイザルにCpG-ODN/SPG複合体をインフルエンザワクチンのアジュバントとして投与したとき、高い抗体価を促すことができた。以上より、SPGは特に抗原提示細胞を標的にした薬物送達システムのキャリアとして有用であると考えられる。