著者
森 淳哉 加藤 潤 天目 真樹 奥田 知明 田中 茂 He K. Ma Y. Yang F. Yu X.
出版者
社団法人大気環境学会
雑誌
大気環境学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
no.43, 2002-09-11

中国北京市において、大気粉塵による環境汚染は非常に深刻な状況にある。大気粉塵の主要な発生源は、石炭燃焼などによる人為起源の粒子と、内陸部の砂漠乾燥地帯から発生する砂塵嵐に起因する土壌(黄砂)を含む自然起源の粒子に大別できる。これら両起源の大気粉塵は、世界各国の首都圏のこれらの大気濃度と比べても極めて高く、人為起源の大気粉塵と自然起源(主に黄砂)の大気粉塵が高濃度で混ざり合った大気汚染は、北京市特有のものである。東アジア地域の環境(Environment)・エネルギー(Energy)・経済(Economy)の問題の実態を把握し、その対策を提言する目的で、1998年より、中国・清華大学と慶應義塾大学との共同研究(3E研究プロジェクト)が開始された。そして、北京市の大気汚染の実態を把握する為、3E研究プロジェクトの一環として、2001年3月より中国・清華大学と共同で北京市において大気観測を行った。本研究では、大気粉塵濃度及び粉塵中水溶性イオン成分濃度を測定することによって、中国北京市における大気粉塵による大気汚染の実態の把握とともに、北京市における大気粉塵の化学的な特徴を明らかにし、その存在形態についても検討を行った。