著者
奥田 知明 村上 道夫 内藤 航 篠原 直秀 藤井 健吉
出版者
一般社団法人 日本リスク学会
雑誌
リスク学研究 (ISSN:24358428)
巻号頁・発行日
pp.SRA-0364, (Released:2021-04-30)
参考文献数
32

Since airborne transmission has been considered as a possible infection route for the novel coronavirus in addition to contact and droplet infection routes, ventilation is an important measure against airborne route. In this paper, we describe the history of setting regulatory standard values and the interpretation of CO2 concentration as a measure against infectious diseases. Although the standard value of 1,000 ppm is not intended originally for infection control, it is practically useful as a guide value for potential infection risk management.
著者
奥田 知明 坂出 壮伸 藤岡 謙太郎 田端 凌也 黒澤 景一 野村 優貴 岩田 歩 藤原 基
出版者
公益社団法人 大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.28-33, 2019-01-10 (Released:2019-03-23)
参考文献数
17

可能な限り多数の測定装置を同時に利用することで、閉鎖的環境の代表例である地下鉄構内の空気中粒子状物質の詳細な特性調査を行った。総粒子個数濃度はCPC、ナノ粒子側粒径分布はSMPS、ミクロン粒子側粒径分布はAPS、ミクロン粒子側粒子個数濃度はOPC、粒子状物質の帯電状態は自作の帯電粒子測定装置K-MACS、PM2.5濃度はポータブルPM2.5濃度計、粒径別の個別粒子の元素組成はSEM/EDX、フィルター採取された粒子の元素組成はEDXRFにより測定された。地下鉄構内におけるPM2.5質量濃度は、列車の到着本数が過密になる7–8時台を過ぎた時間帯にピークを示した後徐々に減少し、午後になると約50–120 μg/m3の範囲でほぼ定常的な上昇と減少を繰り返した。地下鉄構内のPM2.5質量濃度は、屋外と比較して約2–5倍であった。地下鉄構内においては、屋外大気と比較して粒径0.5 μm以上の比較的粗大側の粒子が高濃度となった。地下鉄構内のFe、Ti、Cr、Mn、Ni、Cu、Znなどの金属類は、屋外観測地点の数十から数百倍の高濃度であった。一方で、Sの濃度は地下鉄構内と屋外観測地点で大きな違いは見られなかった。0.5–1.0 μmの粒径範囲においては、地下鉄構内の粒子の約70%以上は帯電していた。地下鉄構内における粒子状物質濃度は屋外と比較して高く、かつ地下鉄構内ではFeを含んだ粒子が多いことは、過去の研究例と同様の傾向であった。このことに加えて、本研究では複数の測定装置により、粒径による元素組成の違いや、粒子の帯電状態などといった、地下鉄構内空気中粒子の詳細な特性を把握することができた。
著者
奥田 知明 梶野 瑞王 深潟 康二 岩田 歩
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2020-04-01

有害性が懸念されるエアロゾル粒子の生体や地表面への沈着挙動を議論する上で、粒子の沈着現象に関わる重要なパラメータである粒子の帯電状態については、ほとんど研究が進んでいない。本研究では、生体や地表面へのエアロゾル粒子の沈着現象において、粒子のサイズや粒径分布および幾何学的形状等のパラメータ群と比較して、実環境大気エアロゾルの帯電状態がどの程度の影響を持つか、という問いに対して、観測と実験およびシミュレーションモデルの手法を駆使して明らかにすることを目指す。
著者
奥田 知明 村上 道夫 内藤 航 篠原 直秀 藤井 健吉
出版者
一般社団法人 日本リスク学会
雑誌
リスク学研究 (ISSN:24358428)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.207-212, 2021-06-25 (Released:2021-06-23)
参考文献数
32
被引用文献数
1

Since airborne transmission has been considered as a possible infection route for the novel coronavirus in addition to contact and droplet infection routes, ventilation is an important measure against airborne route. In this paper, we describe the history of setting regulatory standard values and the interpretation of CO2 concentration as a measure against infectious diseases. Although the standard value of 1,000 ppm is not intended originally for infection control, it is practically useful as a guide value for potential infection risk management.
著者
奥田 知明 榎本 太吉
出版者
日本エアロゾル学会
雑誌
エアロゾル研究 (ISSN:09122834)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.29-34, 2019-03-20 (Released:2019-04-09)
参考文献数
19

Characteristics of the elemental composition were investigated for PM10 samples at four sites in Noumea, New Caledonia, where health effects due to nickel production activities such as mining and refining were concerned. The concentration of nickel in the aerosol sample collected in New Caledonia was approximately the same level in Japan while those of other elements were lower in comparing to Japan. Enrichment factor of nickel in aerosol in New Caledonia was approximately 250 which was about 20 times greater than that in Japan. The reasons for this were thought to be (1) influence of soil particles that have relatively higher nickel content from surrounding sampling site, and (2) influence of emission from nickel smelter near the sampling site; however, there was no clear evidence to prove them. Alternatively, the nickel-enriched particles, which were generated as a result of nickel production activities such as a refinement of laterite-nickel ore, could be contributed as a potential source of the aerosol in this area.
著者
奥田 知明 黒田 寿晴 奈良 富雄 岡本 和城 岡林 佑美 直井 大輔 田中 茂 HE Kebin MA Yongliang JIA Yingtao ZHAO Qing
出版者
The Japan Society for Analytical Chemistry
雑誌
分析化学 = Japan analyst (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.287-292, 2009-04-05
被引用文献数
1

発がん性を有する多環芳香族炭化水素類(PAHs)の定量分析時における夾雑物除去操作の利便性向上を目指し,自動化カラムクロマトグラフィー装置の開発を行った.本装置は,夾雑物除去用固相抽出管を最大8本,展開溶媒は最大3種類,滴下容量は最大1 mL/ストロークでその分解能は1 μL,回収容器は最大8×3=24本までセット可能である.開発された自動化カラムクロマトグラフィー装置を用いて夾雑物除去操作を行った際のPAHs回収率は,手作業による精製を行った場合と比較して103±9% であり,両者は極めて良好に一致した.この自動化により,8検体の処理に要する時間は手作業の場合の半分である約45分に短縮され,また自動運転中は放置できるため,分析者にとっての利便性が著しく向上した.本研究により確立された高速ソックスレー抽出/自動化カラムクロマトグラフィー/高速液体クロマトグラフィー/蛍光検出法を中国北京市で採取された大気浮遊粒子状物質中のPAHsの定量へ応用した.測定された15種類のPAHs濃度の総和(ΣPAHs)は,暖房期では198.5±149.8 ng/m<sup>3</sup>(<i>n</i>=24),非暖房期では50.1±63.7 ng/m<sup>3</sup>(<i>n</i>=51)であり,北京市において特に冬季に暖房のための石炭燃焼由来のPAHsによる汚染が深刻化することが示された.
著者
森 淳哉 加藤 潤 天目 真樹 奥田 知明 田中 茂 He K. Ma Y. Yang F. Yu X.
出版者
社団法人大気環境学会
雑誌
大気環境学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
no.43, 2002-09-11

中国北京市において、大気粉塵による環境汚染は非常に深刻な状況にある。大気粉塵の主要な発生源は、石炭燃焼などによる人為起源の粒子と、内陸部の砂漠乾燥地帯から発生する砂塵嵐に起因する土壌(黄砂)を含む自然起源の粒子に大別できる。これら両起源の大気粉塵は、世界各国の首都圏のこれらの大気濃度と比べても極めて高く、人為起源の大気粉塵と自然起源(主に黄砂)の大気粉塵が高濃度で混ざり合った大気汚染は、北京市特有のものである。東アジア地域の環境(Environment)・エネルギー(Energy)・経済(Economy)の問題の実態を把握し、その対策を提言する目的で、1998年より、中国・清華大学と慶應義塾大学との共同研究(3E研究プロジェクト)が開始された。そして、北京市の大気汚染の実態を把握する為、3E研究プロジェクトの一環として、2001年3月より中国・清華大学と共同で北京市において大気観測を行った。本研究では、大気粉塵濃度及び粉塵中水溶性イオン成分濃度を測定することによって、中国北京市における大気粉塵による大気汚染の実態の把握とともに、北京市における大気粉塵の化学的な特徴を明らかにし、その存在形態についても検討を行った。