著者
渋谷 昌三 Shozo Shibuya
出版者
学習院大学哲学会
雑誌
哲学会誌 = Annual of the Philosophical Society, Gakushuin University (ISSN:03886247)
巻号頁・発行日
no.3, pp.112-88, 1975-11

あなたがMさんと話をしているときの光景を頭に描いて欲しい。話をしているMさんとあなたの間の距離はどのくらいにありますか。また,Mさんとあなたの身体の向きや視線の接触回数,身振りの多少についても考えて下さい。さらに他の人についても同様な試みを続けてみると,人は対人場面で情況に応じた適切な空間を保持していることに気づくのである。日常生活の中でわれわれがほとんど気づかずに過している空間が様々な重要な意味を持っている。本稿では,こうした空間を人の行動の側面から検討する。