著者
江下 雅之 Masayuki ESHITA 目白大学社会学部社会情報学科
雑誌
目白大学経営学研究 = Mejiro journal of management (ISSN:13485776)
巻号頁・発行日
vol.(6), pp.89-03, 2008

2006年12月に発売された任天堂のゲーム機Wiiは、新たなゲーム市場を開拓し、全世界で好調な売れ行きを記録している。しかしながら、任天堂が大幅な増産を図らないために市場は慢性的な品薄状態となり、発売前の予約段階はもちろんのこと、発売から数ヶ月後に至るまでネット・オークションでの転売が活発であった。Wiiをめぐるオークションの入札動向は、店頭発売日前後で大きく異なる。落札価格、各オークションへの入札計数とも、店頭販売当日まで上昇を続けた。しかし、こうした過熱は出品数が急増することで解消されている。また、落札価格、入礼者数ともに単調な増減を示すことはなく、おなじ日でも上下に振幅している。他方、オークション参加者はこうした傾向を考慮した入札を行っているのではなく、入礼者の参加時点で把握可能な出品機会のもとで競合の度合いを判断しているものと考えられる。