著者
緒方,康二
出版者
日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, 1987-09-01

1873年に登場した「色図」は, 日本における色彩教育のはじめての試みである。「色図」は, 当時アメリカで盛んであったオブジェクト・レッスンのためのウイルソン掛図を, 直接的に取り入れたものであった。この「色図」教育は1881年頃に終わり, 以後長いあいだ, 色彩教育は空白のままとなった。1900年代の初頭にいたり, 海外留学から帰国した白浜徴によって, 再びアメリカにおける色彩教育システムが導入されることになる。白浜がアメリカに留学の途についた1900年代の初頭は, アメリカでさまざまな色彩教育システムが登場した頃でもあった。『新定画帖』(1910)にみられる白浜の色彩教育システムは, フローリッヒとスノーによる『美術教育テキスト』(1904)に準拠したものといわれるが, プラングの『カラー・インストラクション』(1893)の影響も認められよう。白浜の色彩教育法は, 明治時代をこえて長く適用されている。

言及状況

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緒方康二「明治のころの小学校における色彩教育」『日本色彩学会誌』(1987)。日本における近代的な色彩教育が「輸入」される状況が丁寧に描かれる。ただ論文でも触れられているように実際は、色鉛筆、絵具などが揃わないため、教育としてどれほど影響を与えたかは未知数。 https://t.co/6H8BysXBYV

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