著者
鈴木 恒男
出版者
日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.153-161, 1991
被引用文献数
10

色再現に於いては肌色の再現が一番重要であるとよく言われている。その為に, 肌色の特性及びその再現に関しては多くの研究がなされている。しかし, その肌色再現の人種間の比較に関しては研究が非常に少ない。本報告では, 日本人と欧米人の好ましい肌色を白人女性の写真を使って調査した。その結果, 日本人は欧米人よりも赤みの肌色を好む事が分かった。この事は従来白人及び日本人で独立に行なわれた研究とも対応するものである。
著者
呂,清夫
出版者
日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, 1998-02-01

バーリンとケイ(B.Berlin & P.Kay)の色名進化論によれば, 標準中国語(Mandarin)には基本色名が白, 黒, 紅, 黄, 緑, 藍の6種類しかないから,日本語, 韓国語(Korean), 広東語(cantonese)などに比して発展が遅れたことが力説されている。本研究は主に色名が存在する歴史的文献によって, バーリンとケイの色名進化論にある標準中国語についての問題点を明らかにする。つまり標準中国語の起源である古代中国語には, 西暦紀元前にすでに11種類以上の基本色名が存在していた。そして中国語にある色名の発展が他の民族の色名進化状態ともあまり変わらないことを明らかにした。
著者
児玉 晃
出版者
日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.95-101, 2008-06-01
参考文献数
4

規格の変遷では、ANSI、JIS、ISOなどの絡み合いがあり、ドラマもある。それらの中から幾つかのポイントに絞り、規格の説明も含めて解説する。
著者
田辺 弘子 杉本 賢司
出版者
日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.152-162, 2004
参考文献数
6
被引用文献数
2

厳島神社は、593年に海上に建設された特殊建物である。神社の配置計画は、世界的にも独自性の高い設計として認められ、世界遺産に登録された。島全体が、神の領域として守られており、墓地や畑などの建設が許されなかった。そして、長い年月を経過しても宝物類が完全な姿で伝承されている。本研究では、厳島神社の有する独自の建築様式の変遷と配置計画、色彩について調査を行ったものである。厳島神社は、多くの国宝や重要文化財を有し、砂州の上に建ちながらなぜ、これほど健全に維持されて現在に至ったのかを建築的に検証を行った。また、厳島神社はすべてが朱塗りで構成されており、朱色の鳥居と神橋(別名:勅使橋、太鼓橋)は神域を守るために入り口を防備する重要な役割を果たしている。海上に位置する鳥居の構造は、両部鳥居という耐震性の高いものであり、海上にあっても浮き上がらない設計が行われている。さらに、烏居の素材は水に強い楠が採用された。鳥居の接合部の補修は、法隆寺と同じ、継ぎ木という日本の独特の仕口の技術を駆使している。海上という最悪の建築条件のなかでどうしてここまで耐えることができたのか、素材と塗装技術、建築のディテールを検証した。本研究により、今後の維持管理の基礎資料の一部として供することを目的としたものである。
著者
苧阪 直行 池田 尊司 Naoyuki Osaka Takashi Ikeda 京都大学大学院文学研究科 京都大学大学院文学研究科 Department of Psychology Graduate School of Letters Kyoto University Department of Psychology Graduate School of Letters Kyoto University
出版者
日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 = Journal of the Color Science Association of Japan (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.197-203, 2006-12-01
参考文献数
27

視覚的に呈示された色情報の短期的保持が言語(言語的ワーキングメモリ)に依存するのか、あるいは視覚(視覚的ワーキングメモリ)に依存するのかは、当該色が色カテゴリーの境界をクロス(跨ぐ)するかしないかで異なるというモデルを提案した。機能的磁気共鳴脳画像法(fMRI)を用いて、代表的なワーキングメモリ課題であるNバック課題を導入してモデルを検証した。色の記憶における言語と視覚のワーキングメモリの寄与について検討した結果、基本色名で定義される色カテゴリーをクロスする条件では、左半球の下前頭回や下頭頂小葉が強く活動することがわかった。左の言語半球のこれらの領域の活性化は色の名前を音韻ループで保持する言語性ワーキングメモリが働いていることを示している。一方、同じ色カテゴリー内に留まる色差の小さい色の場合は、右半球の下前頭回が強く活動すること、つまり視覚的ワーキングメモリは視空間的スケッチパッドで保持されていることが示された。記憶すべき色刺激が左の音韻ループ(言語性ワーキングメモリ)で保持されるのか、右の視空間スケッチパッド(視覚性ワーキングメモリ)で保持されるのか、その認知負荷のバランスは色カテゴリーの境界を手がかりとした認知的方略によることが明らかになった。脳は色差に応じて色をことばであるいは知覚イメージで短期保持するのである。We proposed a model that colors could be memorized either in verbal or visual working memory depending on the color category borders. Using functional magnetic resonance imaging (fMRI), the model was tested by introducing a 2-back working memory task. We investigated the involvement of verbal and visual working memory in color memory. Colors between (cross) the categories defined by basic color names strongly activated the left inferior frontal gyms (IFG) and left inferior parietal lobule (IPL) corresponding to the phonological loop as verbal working memory, while colors within the category boarder strongly activated the right IFG corresponding to the visuospatial sketchpad as visual working memory. The choice of colors to memorize might modulated the cognitive load balance between the phonological loop and the visuospatial sketchpad.
著者
北嶋 秀子
出版者
日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.227-238, 2015

暈繝彩色は,仏像や仏具など仏教関係のものに施され,主に「紺(青)・丹(赤)・緑・紫」のグラデーションを用いて,鮮やかな多彩感や立体感を表す装飾的な彩色技法である.暈繝彩色は,インドから中国に伝わり,中国で完成したと考えられる.以前にも拙稿で暈繝彩色について検証したことがあるが,本稿では敦煌莫高窟における進化の過程とともに,暈繝彩色の定義についても再検証した.敦煌莫高窟の壁画を時代ごとに『中国石窟・教煌莫高窟』で確認しながら,先学の研究を基に暈繝彩色について再検証した結果,教煌莫高窟において6世紀前半には筆禍らしき彩色法が見られ,7世紀には暈繝彩色が完成していたと考えられる.薄暗い石窟内は少ない光量ゆえに,物体が平面化し通常と異なる視感竟に陥ることが想像される.その平面化の問題を解決する方法として,暈繝彩色を構成するグラデーションの段数を,増やすことが考えられた.それによって「色彩による立体感」を獲得し,暈繝彩色が爛熟期に達したと考えられるのである.さらに,暈繝彩色のグラデーションは,彩度を強く意識したトーンのグラデーションであることも明らかになった.薄暗い環境下で立体感を表出するために工夫された彩色法が,それまでの暈繝彩色を完成された暈繝彩色へ高めたと考えられる.
著者
槙 究 増田 倫子
出版者
日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.232-243, 2000-12-01
参考文献数
8
被引用文献数
4

実物の色と記憶色では色が異なるとの研究報告がある。本研究では、その違いが記憶保持期間における色の変容によるものかどうかを明らかにするために、物体の色を記憶後、3回に渡って再生させる実験を行った。その結果、以下のようなことがわかった。(1)物体の色の記憶は、ある程度の正確さを持っている。しかし、色相は記憶色の影響を受けてずれることがあるし、彩度の中彩度側にずれて記憶される傾向がある。(2)低彩度の色は、色相の記憶における個人差が大きい。(3)一旦記憶された色は、一週間後まで、安定して再生される。(4)色記憶時の背景の違いは、記憶される色の違いとなって現れる。記憶保持過程には影響を及ぼさない。(5)実物の色と記憶色が異なるのは、色の記憶が時間と共に変化するためではなく、記憶のプロセスに起因する。
著者
畠山,富雄
出版者
日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, 2004-12-01
著者
長田 典子
出版者
日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.348-353, 2010
参考文献数
15
被引用文献数
1
著者
三浦 久美子 齋藤 美穂 Kumiko Miura Miho Saito 早稲田大学大学院人間科学研究科 早稲田大学人間科学学術院 Graduate School of Human Sciences Waseda University Faculty of Human Sciences Waseda University
出版者
日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 = Journal of the Color Science Association of Japan (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.256-267, 2007-12-01
参考文献数
15
被引用文献数
5

本研究は、香りの持つ印象及び気分の作用を整理し、香りに対する調和色の法則性の検討を目的とした。実験は、100名(男性42名/女性58名)の対象者に、8種の香り(シナモン、ペパーミント、バニラ、ローズマリー、レモン、アニス、ペッパー、ローズ)の印象評定(SD法)及び気分評定を課すと同時に、18色(3トーン、5色相の有彩色及び3色の無彩色)により構成されたカラーチャートから、調和色及び不調和色をそれぞれ3色まで選択させるという手続きによって行われた。因子分析の結果、香りの印象評定主軸として<MILD>、<CLEAR>、 <DEEP>、気分評定主軸としてはくPLEASANT>、<GLOOMY>、<SERIOUS>の3因子が、各々抽出された。香りに対する調和色は、特に香りの印象との関わりにおいてその法則性を見出すことができた。すなわち、香りが<MILD>な場合は赤や紫、 <CLEAR>な場合は青や緑の色相が調和するとされ、さらに<DEEP>因子が高得点の場合は低明度色、<DEEP>因子が低得点の場合は高明度が調和すると判断される傾向にあることが示唆された。Based on the impression of a fragrance and its effects on the mood of individuals, we studied how individuals associate fragrance with color. One hundred subjects (42 male and 58 female) were randomly assigned eight fragrances (cinnamon, peppermint, vanilla, rosemary, lemon, anise, pepper, and rose) , and were requested to describe the impression (SD method) of fragrances and their effect on the mood. In addition, the subjects were asked to select, two sets of three colors each from color charts consisting of 18 colors (3 tones each from 5 hues and 3 achromatic colors) , such that one set matched a fragrance, and the other did not.The following three factors were obtained by factor analysis for the impression of each fragrance : <MILD>,<CLEAR>, and <DEEP>. The factors for the effect on mood were : <PLEASANT>,<GLOOMY>, and <SERIOUS>. Based on the results, we found the following associations between fragrance and color : red and purple for <MILD> fragrances (high factor score) , blue and green for <CLEAR> fragrances (high score). Moreover, for <DEEP> fragrances, bright color showed a low score, while dark color showed a high score.
著者
小野,真紀子
出版者
日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌
巻号頁・発行日
vol.27(SUPPLEMENT), 2003-05-01
著者
柴野,晶子
出版者
日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, 1991-05-01
著者
大住 雅之 中野 知子 高橋 徹 渡辺 文雄
出版者
日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.100-101, 2008-05-01
参考文献数
3