著者
呂,清夫
出版者
日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, 1992-01-01

文字の海の中に, 伝統色名セツ卜をどのように選定すれば, 代表性や普遍性のあるものになるのか。本研究では, 「中国色名綜覧」^<1)>および「中国の伝統色」^<2)>を, 英語の「色の標準と命名法」および「色彩辞典」と比較研究を行い, 調べた数字でその相違をはっきり比較させると共に, その色名選定の基準についての相違までも比較をする。そして, 英語の2種類の権威的な著作の間には, その選定の基準が比較的近いため, それぞれの選定した色名が重なるものが多いのに対して, 中国色名に関する2種類の著作の間には, その基準ががなり離れているため, それぞれの選定した色名が, 全く別なもののように見える。そればかりでなく, 中国語並びに英語の色名が代表する色彩についても, ほぼ同じ現象が存在している。つまり, 中国語と英語のそれぞれの両種類の著作にある色名の代表色を, 別々にNickersonの退色指数で表示すると, 英語の二つの著作にある色名の代表色は, 中国色名の二つの著作にある色彩より, その安定性が比較的高い。以上の現象の探求とその原因の究明とが本研究の要旨である。それは伝統色名セットの選定のキー・ポイントであろう。

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呂清夫「中国語と英語との色名に関する比較研究」『日本色彩学会誌』(1992)。色見本とはすなわち色の標準化と考えると、自然科学系の影響が強い中国の色譜が出たのが1957年、画家の王定理を中心に中国の伝統色が出たのが1986年。両者の目指す「標準化」が異なるのも肯ける。 https://t.co/prb3cLxynm

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