- 巻号頁・発行日
- 1800
文学史で言う「赤本」ではなく、後人によりまとめられた江戸後期小本「赤本/昔ばなし」8冊の内の1冊。(ただし「源平盛衰記」(寄別3-6-1-1)巻末に画作者の歌「赤本のほんにめでたし/\と又板行もあら玉の春」があるので、当時この種の作品も「赤本」と称したことが判る。)表紙は素朴ながら木版多色摺で、紅地に七宝繋ぎ他の宝を薄く摺り出した背景に鎧の上に袖無しを着し広げた扇を持って立つ白鼠と前に座す鎧の上に陣羽織を着た白猫を描く。左の青い長方枠に題名「猫鼠合戦」。扉には、玩具の〈唐辛子鼠〉を斜めに配し、その下に猫の〈亀山の化物(飛んだり跳ねたり)〉を描いて「猫鼠」を利かせ、斜線の左上に「はる/しん/ぱん」、右下に「やま又/はん」と版元名を記す。巻末に「芳寅画」とあり歌川芳虎か。柱題「猫鼠」。