著者
藤本 久司 FUJIMOTO Hisashi
出版者
三重大学人文学部文化学科
雑誌
人文論叢 : 三重大学人文学部文化学科研究紀要 (ISSN:02897253)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.145-155, 2011-03-30

世界の文化を類型化し対比する主要な研究から「コンテクスト」「時間感覚」「結論の位置」「視線」「対面距離」「身体接触」「あいづち」に視点をおいたものをとりあげる。また、コミュニケーションギャップの具体例をいくつか挙げ、上記研究及び他の複数の視点から考察を行うと、1つの例にも様々な文化背景の要因が関わっていることがわかる。われわれは現代社会の異文化間コミュニケーションにおける非言語の重要性を一層注視しなければならない。ネット社会の発展の中で、文化背景を軽視した言語だけのコミュニケーションが増えることで、不要な誤解や摩擦が増え、時に極端な情報が伝わっている。誤解や無理解はそのままにしておくと偏見に変わる。理由や文化背景を正しく知り、また、説明する努力が求められる。メッセージの送り手は、送る相手の文化スタイルに合わせないとメッセージの内容が正しく伝わらない、ということを再認識することが必要だ。そのため自文化を深く知り、異文化の相手に正確に説明することと、接触する相手の文化について事前の理解を深めた上でコミュニケーションすることが肝要である。

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