著者
藤本 久司 Fujimoto Hisashi
出版者
三重大学人文学部文化学科
雑誌
人文論叢 (ISSN:02897253)
巻号頁・発行日
no.26, pp.161-174, 2009

三重大学生が主になり2005年から外国出身の子どものための学習サポートボランティアを継続している。ここでは2007年9月以降の2年間の経緯を記録し、日々の活動報告、サポートする側と子どもたちのアンケート回答などに現れた生の声を集約し分析する。そこには、サポートする側のスキルアップへの工夫や努力がみられるとともに、子どもの背景や学習の実態に対する理解と戸惑いか交錯する。また、変化しつつある外国人住民の状況、地域的な特徴、出身国による親子や家族の相違点なども読み取ることができる。
著者
藤本 久司 FUJIMOTO Hisashi
出版者
三重大学人文学部文化学科
雑誌
人文論叢 : 三重大学人文学部文化学科研究紀要 (ISSN:02897253)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.145-155, 2011-03-30

世界の文化を類型化し対比する主要な研究から「コンテクスト」「時間感覚」「結論の位置」「視線」「対面距離」「身体接触」「あいづち」に視点をおいたものをとりあげる。また、コミュニケーションギャップの具体例をいくつか挙げ、上記研究及び他の複数の視点から考察を行うと、1つの例にも様々な文化背景の要因が関わっていることがわかる。われわれは現代社会の異文化間コミュニケーションにおける非言語の重要性を一層注視しなければならない。ネット社会の発展の中で、文化背景を軽視した言語だけのコミュニケーションが増えることで、不要な誤解や摩擦が増え、時に極端な情報が伝わっている。誤解や無理解はそのままにしておくと偏見に変わる。理由や文化背景を正しく知り、また、説明する努力が求められる。メッセージの送り手は、送る相手の文化スタイルに合わせないとメッセージの内容が正しく伝わらない、ということを再認識することが必要だ。そのため自文化を深く知り、異文化の相手に正確に説明することと、接触する相手の文化について事前の理解を深めた上でコミュニケーションすることが肝要である。
著者
福本 拓 藤本 久司 江成 幸 長尾 直洋
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Series A (ISSN:18834388)
巻号頁・発行日
vol.88, no.4, pp.341-362, 2015-07-01 (Released:2019-10-05)
参考文献数
42
被引用文献数
1

本稿では,三重県四日市市を事例に,日本人住民の外国人受入れ意識について,地域内の住民構成や両者の接触などの要因に加え,ブラジル人の集住する郊外空間の変容との関連を明らかにするために,新たに集合的消費の観点を加味した分析を行った.これらの要因を比較検討する意味で,住居種別(一戸建て・UR住宅・県営住宅)間の差異に着目して検討した結果,外国人増加への認識や受入れの方向性について住宅種別間の差異は見出せなかった.しかし,ブラジル人に関連して問題視される具体的内容をみると,UR・県営では日常生活に関わる項目が中心であった一方,一戸建てでは過去の良好なコミュニティ像との対比から,特に教育環境の変化に焦点が当てられていた.これらの結果から,ブラジル人の存在が問題化される背景には,日常生活上の軋轢だけでなく,再生産される労働力の質に関わる,郊外空間における集合的消費の変質があることを指摘した.