著者
松本 昭彦 MATSUMOTO Akihiko
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要. 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学・教育実践 (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.67, pp.109-124, 2016-03-22

『枕草子』第九十八段「中納言まゐりたまひて」段は、有名な「海月の骨」の秀句の段であるが、従来この秀句は、隆家の「見たことないほどすばらしい扇の骨だ」との発言に対し、「見たことないなら海月の骨ですね」と清少納言がしゃれを言ったと解釈されてきた。しかし、「海月の骨」とは、長生きすれば見られるかもしれない奇蹟・幸運の意味の成句であり、この場面は、定子が皇子を懐妊もしくは生んだ直後と考えられることから、ここではその皇子の将来の即位を<予祝>する意味を込めたしゃれであると考えるべきである。またこの章段末尾の部分は、この章段の執筆によって、そのような<予祝>にも関わらず若くして亡くなってしまった定子、結局皇位には就けない皇子・敦康親王の悲運を読者に再確認させてしまうことに対する「言い訳」と考える。

言及状況

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@tarareba722 既にご存知でしたら恐縮ですが、くらげの骨云々の段『中納言まゐりたまひて』には、実は深い意味があり、また清少納言の複雑な思いを記したものではないかと言う論考がありますので、ご参考までに。 https://t.co/r4yQXuA8mA
https://t.co/mKk8jPtOq3 ほうほう…(リンク先は三重大の先生 https://t.co/CSqhhixXYP
.@Felinesula あら?すみません、貼り直してみます https://t.co/2jKlzG9r81 https://t.co/kKAhcA2cS1 「泣ける文章にも出来たはずなのに...『枕草子』の凄さは”書かなかったこと”に..」https://t.co/NmAcpPmOtP にコメントしました。
@lawtomol こちらhttps://t.co/kmSsdZWSOI でのpdfへのリンクがローカルファイルのurlになっていてユーザー名?を晒しているので、いったん消去してhttps://t.co/NBccMZhlXh に書き換えなおした方が良いと思われます。

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