原因・理由の接続助詞「から」と「ので」の意味と用法の違いは、これまで永野(1952)以来「から」は原因・理由を主観的に説明するものであり、「ので」は因果関係を客観的に描写するものであると分類されてきたが、未だ統一的な見解に至っていない。本論では、これらの意味と用法の違いはBrown and Levinson(1978,1987)が論じる「丁寧さ」のストラテジーによって生じるのではないかという仮説を立て、シナリオや漫画などにおける日常的な会話では「から」と「ので」がどのように使い分けられているかを検証する。その分析をもとに、これらの違いは話し手が聞き手や話している場面や発話内容に応じて、無意識に表現の使い分けをしていると結論付ける。