著者
陶山 二郎
出版者
茨城大学人文学部
雑誌
茨城大学人文学部紀要. 社会科学論集 (ISSN:13440160)
巻号頁・発行日
no.61, pp.91-101, 2016-02

本稿では、いわゆる「高知白バイ事件」の目撃証言を検討した。本件は、スクールバスの運転手が駐車場から車道に侵入して中央分離帯の前から右折して反対車線に合流しようとしていた際に、右方から進行してきた白バイと衝突し、同白バイの隊員が死亡したという事件である。この事件では、過失を認める自白があるものの、その自白は真実ではないと争われ、現場のスリップ痕等の由来も争われている。他方、目撃証言については、対向車線を走っていた白バイの目撃証言と、その他の目撃証言が鋭く対立している。本稿では、この目撃証言に絞って、特に公判廷における対立する各目撃証言を検討することにより、本件における目撃証言の信用性評価の問題点を明らかにしようとしたものである。

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