著者
高木 修 柏尾 眞津子 西川 正之
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.77-103, 1997-09-25

183名の教師と309名の大学生が,経済状況,宗教の影響,政治,国民及び国家の安全性,家庭の機能,自然環境などに関する価値の現状あるいは過去5年間にわたる変化をいかに認識しているかを明らかにするために調査票に回答した。Schwartz(1990)の12の動機づけ領域から構成された22項目から成る価値変容尺度が邦訳されたが,その一部は,日本の文化にふさわしい内容に変更された。教師は,大学生に比べて,価値の育成と人生の諸問題を克服する技術の養成における両親の役割が衰退し,国民や国家の安全性は脅かされるようになったと一層認識し,そのためか,政治に一層関心を示していた。物質主義者は,脱物質主義者に比べて,日本人であることに一層誇りを感じ,教育,法制度およびメディア等の社会制度を一層信頼していた。他方,脱物質主義者は,相互扶助の精神が弱まってきているだけでなく,人種や宗教や考えの異なる人への寛容度が低下してきていると一層認識していた。これらの結果に基づいて,今後の研究の方向性が提案された。

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