著者
白井 利明 岡本 英生 栃尾 順子 河野 荘子 近藤 淳哉 福田 研次 柏尾 眞津子 小玉 彰二
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. IV, 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.111-129, 2005-09-30

非行の原因に関する研究は多いが,立ち直りの研究は少ない。非行経験のある多数の少年は矯正機関とかかわることなしに立ち直っている。このことを考えると,社会内に立ち直りを促進する要因があると考えられる。本研究は,立ち直りには「援助者との出会い」が必要であり,出会いのためには少年の心理的な特性として「ひたむきに物事に取り組む力」と「抑うつに耐える力」の成熟が求められると考える。この仮説を実証するため,非行から立ち直った2名に対する面接調査を実施した。その結果,親との出会い直しが必要であるが,そのためには親以外の大人による援助が重要なきっかけとなっていることがわかった。また,「ひたむきに物事に取り組む力」と「抑うつに耐える力」は仮説を支持したが,どちらか一方でもよった。仮説は部分的に支持され,さらなる解明は今後の課題とされた。
著者
橋本 幸子 尾田 貴子 土肥 伊都子 柏尾 眞津子
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.241-248, 2006

Assuming that sophistication in clothing/makeup has two aspects, we conducted this research for the following two purposes. The first purpose was to develop a scale about two aspects of sophistication in clothing/makeup. A questionnaire was given to 107 female college and university students and their 107 mothers in order to gather data on both younger and older females'. The results of the factor analysis on the data indicated that sophistication in clothing/makeup has two factor structures, "external sophistication" and "internal sophistication". We verified the construct validity between the scale and the lifestyle and habit of clothing/makeup behaviors. For the second purpose, we studied the association between external/internal sophistication and gender personality by generation. As a result of a covariance structure analysis, we found that gender identity promotes external sophistication only in younger females while androgyny promotes internal sophistication in both generations. We also found that internal sophistication promotes external sophistication only in older females.
著者
尾田 貴子 橋本 幸子 柏尾 眞津子 土肥 伊都子
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.44, no.11, pp.700-709, 2003-11-25 (Released:2010-09-30)
参考文献数
12
被引用文献数
1

本研究は, 以下の2つを目的とし, 女子大学生およびその母, 216名 (女子大学生109名, 母107名) を対象に質問紙調査を行なった.1) 「おしゃれ行動の二面性」 (橋本・柏尾, 2003) の構成概念妥当性を検討するために, 内面的・外面的おしゃれと被服・化粧行動との関連性を検討する.2) 内面的・外面的おしゃれと心理的健康の関係, および, 年齢を重ねてからのおしゃれについての価値観と心理的健康の関係についても検討する.さらに, 1) 2) について世代間比較を行なった.分析の結果, おしゃれの二面性概念の妥当性が確認された.世代間の比較では, 外面的おしゃれは娘世代, 内面的おしゃれは母世代が一層行なっていた.また, 娘世代では, 外面的おしゃれと「対自己の健康」とに正の相関関係, 内面的おしゃれと「対他者の不健康」とに負の相関関係が認められた.母世代では, 内面的おしゃれのみ, 「対自己の不健康」, 「対他者の不健康」と有意な負の相関関係が認められた.年齢を重ねてからのおしゃれに対する価値づけについては, 娘世代では外面的におしゃれなほど, 母世代では内面的におしゃれなほど, 高かった.
著者
箱井 英寿 柏尾 眞津子
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.143-147, 2010

<p> 本研究では,健康意識が,衣食住の各生活領域にどのように関わっているのかを検討する.85の男女大学生を対象に調査を実施した結果,以下のことが明らかとなった.<br> 1)健康意識に関する項目を因子分析した結果,対人配慮志向,能動的志向,楽観的志向,非執筆志向の4因子が見出された.2)健康に関する一般的な行動項目を因子分析した結果,健康管理,快適志向,ふれあい,病気リスク回避の4因子が見出された.3)衣食住生活に関する行動を因子分析した結果,衣生活,食生活,住生活における健康行動構造が見出された.<br> これらの関連を検討した結果,対人配慮意識が人や動物とのふれあい行動や病気リスクを回避する行動を規定していること,能動的志向意識が衣生活に関連した行動を規定していることなどが見いだされた.また,他者とのふれあい行動と衣生活行動が関連していることが見いだされた.このように本研究からは,食生活に関する行動のみならず,装うことが健康行動に関連することが示唆された.</p>
著者
高木 修 柏尾 眞津子 西川 正之
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.77-103, 1997-09-25

183名の教師と309名の大学生が,経済状況,宗教の影響,政治,国民及び国家の安全性,家庭の機能,自然環境などに関する価値の現状あるいは過去5年間にわたる変化をいかに認識しているかを明らかにするために調査票に回答した。Schwartz(1990)の12の動機づけ領域から構成された22項目から成る価値変容尺度が邦訳されたが,その一部は,日本の文化にふさわしい内容に変更された。教師は,大学生に比べて,価値の育成と人生の諸問題を克服する技術の養成における両親の役割が衰退し,国民や国家の安全性は脅かされるようになったと一層認識し,そのためか,政治に一層関心を示していた。物質主義者は,脱物質主義者に比べて,日本人であることに一層誇りを感じ,教育,法制度およびメディア等の社会制度を一層信頼していた。他方,脱物質主義者は,相互扶助の精神が弱まってきているだけでなく,人種や宗教や考えの異なる人への寛容度が低下してきていると一層認識していた。これらの結果に基づいて,今後の研究の方向性が提案された。
著者
橋本 幸子 尾田 貴子 土肥 伊都子 柏尾 眞津子
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.241-248, 2006-02-08 (Released:2017-02-07)

Assuming that sophistication in clothing/makeup has two aspects, we conducted this research for the following two purposes. The first purpose was to develop a scale about two aspects of sophistication in clothing/makeup. A questionnaire was given to 107 female college and university students and their 107 mothers in order to gather data on both younger and older females'. The results of the factor analysis on the data indicated that sophistication in clothing/makeup has two factor structures, "external sophistication" and "internal sophistication". We verified the construct validity between the scale and the lifestyle and habit of clothing/makeup behaviors. For the second purpose, we studied the association between external/internal sophistication and gender personality by generation. As a result of a covariance structure analysis, we found that gender identity promotes external sophistication only in younger females while androgyny promotes internal sophistication in both generations. We also found that internal sophistication promotes external sophistication only in older females.