著者
西藤 奈菜子 川端 康雄 寺嶋 繁典 米田 博
出版者
関西大学大学院心理学研究科心理臨床学専攻
雑誌
Psychologist : 関西大学臨床心理専門職大学院紀要
巻号頁・発行日
vol.8, pp.31-40, 2018-03-16

自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder:以下ASD)の心理アセスメントでは、ASD特性を測定するための心理検査の開発やASDに特有な反応の調査など、様々な側面から研究が進められてきた。特に近年は、精神症状や疾患を有する軽度のASDへの適切な治療や支援が注目されており、軽微なASD特性のスクリーニングが課題となっている。ASDのスクリーニングには、従来、養育者による他者評価や患者自身の自己評価に基づく自記式の質問紙検査が使用されてきた。しかし、ASD特性が軽微で知的発達にも顕著な遅れがみられないケースについては、的確にスクリーニングすることが難しい。特にセルフモニタリングを苦手としているASDでは、自記式の質問紙検査による判定が適切に行えない場合も少なくない。本稿では、軽度のASDの青年や成人のスクリーニングにおける自記式の質問紙検査の限界と投影法検査によるスクリーニングの可能性について概観し、有用なスクリーニングツールのあり方について検討する。

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