著者
田中 秀男 池見 陽
出版者
関西大学大学院心理学研究科心理臨床学専攻
雑誌
Psychologist : 関西大学臨床心理専門職大学院紀要
巻号頁・発行日
vol.6, pp.9-17, 2016-03-08

ユージン・ジェンドリンがフォーカシングを提唱したきっかけとして、カール・ロジャーズのもとで行われていた以下の2 つのリサーチ結果が、著作『フォーカシング』(Gendlin, 1981)で挙げられている。「1.心理療法の成功と相関があったのは、クライエントが“何を”話したかではなく、“いかに”話したかであった」「2.心理療法が成功するか/失敗するかは、ごく初期の面接から予測できてしまう」。実は、この2つは、ジェンドリンに先行する研究者たちによる別のリサーチの流れだったことがわかってきた。上記の1.がEXPスケール(体験過程尺度)の源流であり、上記の2.がフォーカシング教示法の源流である。本稿では、こうした2つのリサーチの流れがジェンドリンに継承されることで、どのように合流して現在の「フォーカシング」となったのかを提示する。

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2年前に刊行された本書第6章「1955年のロジャーズとジェンドリン」にキーパーソンとして登場するウィリアム・カートナーについては、私の博士論文よりも下記論文の方がコンパクトにまとまっております。 https://t.co/dUxx82XnLK https://t.co/KGqOvbMP4q
ロジャーズ門下の兄弟子、ウィリアム・カートナーをフィーチャーしたフォーカシング前史。 田中秀男・池見陽 (2016). フォーカシング創成期の2つの流れ : 体験過程尺度とフォーカシング教示法の源流『Psychologist : 関西大学臨床心理専門職大学院紀要』6号, pp.9-17. https://t.co/dUxx83eqNK

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