著者
島宗 理
出版者
法政大学文学部
雑誌
法政大学文学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Letters, Hosei University (ISSN:04412486)
巻号頁・発行日
vol.81, pp.73-84, 2020-09-30

家庭用カラオケの採点システムを用い,モデルとなるメロディーと歌い手の音高を歌唱中にリアルタイムで視覚提示するピアノ譜の仕組みが総合得点に及ぼす影響を,“音痴”を自認する成人1名を対象に検討した。予備調査から総合得点が主旋律,タイミング,なめらかさ,テクニックからなる4つの下位尺度の加重得点として算出されていることと,このうち主旋律の重みづけが大きいことがわかった。実験1でメロディを既習済みの4曲を対象に条件交替法を使ってピアノ譜の有無による総合得点の違いを検討したところ,条件間の差は見いだせなかった。実験2ではメロディを学習中の4曲を対象に課題曲間多層ベースライン法を適用したところ,ピアノ譜がメロディ学習の進度を加速したことが示された。正しいメロディで歌う行動が自動的強化だけでは十分に形成されない場合にピアノ譜が有効に機能する可能性が示唆された。

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