- 著者
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福井 弘教
- 出版者
- 法政大学大学院
- 雑誌
- 大学院紀要 = Bulletin of graduate studies (ISSN:03872610)
- 巻号頁・発行日
- vol.80, pp.127-142, 2018-03-31
2015年、国連で「持続可能な開発目標,SDGs (Sustainable Development Goals) 」が採択された。これは、格差や気候変動、エネルギーなど、17の課題に対して、「誰一人取り残さない―No one will be left behind」を理念にグローバルな視点で取り組むための新たな尺度である。国によって、法制度、宗教、気候、文化など多様な差異があることから、SDGsの尺度は重要であるが、本稿で注目したのは、Goal 5 の「ジェンダー平等」である。これまで、国内においても、女性地位向上を目指した法制度や施策が展開され、近年では「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年9月4日、法律第64号)、いわゆる「女性活躍推進法」が施行されたものの、議員(国・地方)、高等教育機関における教員、企業における役員など、いずれも女性の数値・占有率は低く推移しており、女性活躍の道は未だに険しいと指摘せざるをえない。本稿では、「活躍」を生産活動として捉え、女性が「活躍」するためには、いかなる労働環境の整備や施策が必要であるのか、プロスポーツの競艇女子選手を事例としながら、ジェンダー平等に向けて、現在の不平等に至る理論の再把握、確定とパラダイムシフトを伴う施策構築を目的として展開した。考察の結果、①各組織における一定数の女性の確保、②ジェンダーに配慮した適切・適度な優遇、③フレキシブルな職場復帰環境整備を確定し、ジェンダー平等 (SDGs Goal 5) に資するソーシャルインパクト (施策) として提示する。