著者
太田 碧
出版者
法政大学大学院
雑誌
大学院紀要 = Bulletin of graduate studies (ISSN:03872610)
巻号頁・発行日
vol.88, pp.14-22, 2022-03-31

オタクを取り巻く環境や在り方は変化している。本研究では,趣味とし愛好する対象によってオタクをマンガオタク・アニメオタク・キャラクターオタクに分け,各オタクのコンテンツへの態度・行動によってその形態が分類可能かを検討した。因子分析の結果,マンガオタク尺度とアニメオタク尺度はいずれもおおまかに読書・視聴について,積極的ファン行動について,コンテンツへの共感についての3 因子に分類された。キャラクターオタク尺度はキャラクターへのファン活動と消費,二次元好き,外見的魅力と憧れの3因子に分類された。これらはマンガやアニメとの接触頻度やオタク自認度とも相関があり,特にアニメオタク自認度と各尺度の因子にはすべて正の相関が見られた。またマンガ読書冊数とマンガオタク自認度,アニメ視聴分数とアニメオタク自認度に正の相関が見られた。オタクが愛好するマンガ・アニメとの関わり方や楽しみ方は一様ではないことが示された。
著者
髙野 愛子
出版者
法政大学大学院
雑誌
大学院紀要 = Bulletin of graduate studies (ISSN:03872610)
巻号頁・発行日
vol.86, pp.13-29, 2021-03-31

本研究では,大学生を対象に2つのじゃんけんの手に対する勝敗判断課題を実施し,勝敗の判断基準に関する教示を与えずに,指の本数の多い方を勝ちとする数量に応じた勝敗判断を随伴性形成することを試みた。実験1では2色の背景色を用いて,数量とじゃんけんに応じた勝敗判断を分化強化した。数量に応じた勝敗判断が自発されない参加者には,通常じゃんけんに使用されない手を選択肢に追加して提示した。分析対象とした12名のうち,正誤フィードバックに従って勝敗判断が正しく分化したのは3名のみであり,じゃんけんの手同士の組合せの提示が,日常生活におけるじゃんけんの勝敗関係に基づく勝敗判断を強力に喚起することが示唆された。実験2では,数量に応じた勝敗判断を正反応とし,これを強制的に自発させて強化する強制選択条件を実施した。加えて,自由選択条件への移行に先立ち,プロンプトフェイディング法の導入有無を参加者間で変化させた。正誤フィードバックに従わず一貫してじゃんけんに応じた勝敗判断を示した4名の参加者のうち,プロンプトフェイディング法を導入しなかった2名は,強制選択条件の提示の中止に伴い正反応率の下降を示し,正誤フィードバックが提示されなくなると4名がじゃんけんに応じた勝敗判断を示した。このことから,数量に応じた勝敗判断が維持されない原因として,正反応の強制や正誤フィードバックの有無等の事象が勝敗判断の分化を招いたことが示唆された。
著者
福井 弘教
出版者
法政大学大学院
雑誌
大学院紀要 = Bulletin of graduate studies (ISSN:03872610)
巻号頁・発行日
vol.80, pp.127-142, 2018-03-31

2015年、国連で「持続可能な開発目標,SDGs (Sustainable Development Goals) 」が採択された。これは、格差や気候変動、エネルギーなど、17の課題に対して、「誰一人取り残さない―No one will be left behind」を理念にグローバルな視点で取り組むための新たな尺度である。国によって、法制度、宗教、気候、文化など多様な差異があることから、SDGsの尺度は重要であるが、本稿で注目したのは、Goal 5 の「ジェンダー平等」である。これまで、国内においても、女性地位向上を目指した法制度や施策が展開され、近年では「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年9月4日、法律第64号)、いわゆる「女性活躍推進法」が施行されたものの、議員(国・地方)、高等教育機関における教員、企業における役員など、いずれも女性の数値・占有率は低く推移しており、女性活躍の道は未だに険しいと指摘せざるをえない。本稿では、「活躍」を生産活動として捉え、女性が「活躍」するためには、いかなる労働環境の整備や施策が必要であるのか、プロスポーツの競艇女子選手を事例としながら、ジェンダー平等に向けて、現在の不平等に至る理論の再把握、確定とパラダイムシフトを伴う施策構築を目的として展開した。考察の結果、①各組織における一定数の女性の確保、②ジェンダーに配慮した適切・適度な優遇、③フレキシブルな職場復帰環境整備を確定し、ジェンダー平等 (SDGs Goal 5) に資するソーシャルインパクト (施策) として提示する。
著者
菊池 理紗
出版者
法政大学大学院
雑誌
大学院紀要 = Bulletin of graduate studies (ISSN:03872610)
巻号頁・発行日
vol.86, pp.7-12, 2021-03-31

本論文は,より好ましい文章を書くための教育や支援への応用を目的として,やり取りを前提とした文章に焦点を当てて,これまでの文章産出研究について検討した。その結果,やり取りを前提とした文章においては,書き手も読み手も文章の内容よりも表現に相対的に重きを置くことと,読み手との関係性や関係継続の予期が文章に影響することが明らかになった。また,これらの知見をふまえ,山川・藤木(2015)の文章産出プロセスモデルに,外的表象を媒介しない循環と読み手の反応に対する推測という2点を追加して,修正した文章産出プロセスモデルを提案した。このモデルに基づくと,やり取りを前提としたより好ましい文章を書けるようになるための教育の方法として,外的表象を媒介しない循環,すなわち,事前にメモを作成せずに行える支援が考えられる。本論文では,そのような支援の一例として,書き手が文章産出を行う際の方向性を示すことを提案した。今後は,方向性として提示すべき情報の詳細や情報の提示の方法についてさらなる検討が望まれる。