著者
桐村 豪文
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
vol.123, pp.175-185, 2020-03-31

本稿では、教育政策の正当性を裏付けるために求める「エビデンスに基づく教育(Evidence-Based Education:EBE)」の要求について、正義の観点からその正しさに疑義を呈した。 EBE の要求には、それに反対する声が相対する。しかし両者はしばしば対話すること自体が困難であり、政治闘争に近い状況である。そこで本稿では、両者間の通約可能性を探るべく、デリダの提起する来るべき民主主義=脱構築の概念に期待を寄せ、その探究を行った。探究の結果、① EBE の要求の根底には、科学的/非科学的(臨床的)、量的/質的、因果論的/非因果論的、普遍的/特殊的といった階層秩序的二項対立が伏在するということ、②カートライトとハーディによる議論は、それら階層秩序的二項対立を脱構築するものであり、③ゆえに、それら階層秩序的二項対立に依拠するEBE の要求は正しさを維持できないということが示された。

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メモ:桐村 豪文(2020)「エビデンスに基づく教育の要求との民主的対話 - 社会の進化にエビデンスは必要か?- 」https://t.co/EQkQJ0a6LV

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