著者
成田 凌 羽渕 一代
出版者
弘前大学人文社会科学部地域未来創生センター
雑誌
地域未来創生センタージャーナル (ISSN:24341517)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.49-60, 2021-02

本稿の目的は、「地方」に暮らす若者たちの定住意向とその要因について検討することである。地域社会の「3層構造モデル」を参考に、とりわけ居住歴と現住地での定住希望との関連、および「地方」でもより条件不利な地域と都市的な地域における差異に着目した。 分析の結果は次のとおりである。居住歴については、条件不利地域圏と地方中枢都市圏ともに、他出経験なしの「土着(定住)層」が約25%であった。U ターンの「還流層」は条件不利地域圏が、Iターンの「転入層」は地方都市中枢拠点都市圏の方が多かった。また、これら居住歴と基本属性との関連を確認すると、条件不利地域圏では①高学歴で高収入の転入層と②低学歴で不安定な就業状態の土着(定住)層に分かれていること、地方中枢拠点都市圏では既婚、低学歴、正規と家事・無業で転入層が多いことがわかった。 現住地域での定住を希望する割合については、条件不利地域圏(51.6%)よりも地方中枢拠点都市圏(70.5%)の方が高かった。両地域とも共通して男性であること、地域満足度が高いこと、現住地域で友人が多いこと、居住地域の志向と現住地域の都市規模が合致することが、現住地域における定住意向と関連することが明らかになった。

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