著者
羽渕 一代
出版者
社会学研究会
雑誌
ソシオロジ (ISSN:05841380)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.103-117, 2000-10-31 (Released:2016-11-02)
著者
山田 嚴子 小山 隆秀 渡辺 麻里子 小池 淳一 原 克昭 羽渕 一代
出版者
弘前大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究は東北の巫者が近代以降の新たな制度に対応してゆく過程で、在来の「知識」をどのように再配置し、地域住民とともに新たな宗教的実践を再構築してきたのか、そのプロセスを問うものである。一関市大乗寺については、映像資料を作成し、祭文、経典については、録音、翻字を行う。また恐山円通寺については、もと小川原湖民俗博物館旧蔵資料で、現在は青森県立郷土館に寄贈されている文書類の翻刻と、文書の収集の背景の聞き取りを行う。量的調査は青森県、岩手県と比較のために東京都で質問紙調査を行う。研究成果は報告書を作成し、弘前大学地域未来創生センターや青森県立郷土館のwebページなどでも発信してゆく。
著者
石川 由香里 加藤 秀一 片瀬 一男 林 雄亮 土田 陽子 永田 夏来 羽渕 一代 守 如子 苫米地 なつ帆 針原 素子
出版者
活水女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

今年度を総括して述べれば、来年度への調査実施に向けた準備を順調に進めることができた年度と言える。中学生と高校生向けの調査票は、昨年度においてすでに完成していたが、それに加え5月に実施した研究会において、大学生に対する調査票を確定することができた。過去7回の調査結果の分析に際しては、独立変数に設定できる質問項目が少ないことが反省材料であった。とくに家庭の社会経済的背景についてたずねることについて、学校側の抵抗感が大きく、最近ではとくに質問項目として盛り込むことが難しくなってきた。しかし、一昨年および昨年度に行われた大学生対象の予備調査において、大学生であれば親の学歴や職業についての質問項目に答えることへの抵抗はほとんど見られず、分析に耐えるだけの回答を得ることができていた。したがって本調査においても、大学生対象の調査票の項目には、親の学歴や生活状況を尋ねる質問を含めることとした。今年度のもう1つの大きな取り組みとしては、調査先の決定があった。そのために協同研究者はそれぞれ、調査候補となっている都道府県及び区市町村の教育委員会ならびに対象校へ調査の依頼のために手分けしてうかがった。その結果、年度末までには、かなり理想に近づく形での調査協力を取り付けることができた。年度内に3回実施された研究会においては、調査協力依頼のための文書を作成し、またそれぞれの調査先から調査実施の条件として示された個別の案件についても審議した。また実査に加わる調査員に対するインストラクションの内容、保険、旅費の配分など、調査に必要なすべての事柄について確認を行った。
著者
作道 信介 北村 光二 太田 至 曽我 亨 羽渕 一代 辻本 昌弘
出版者
弘前大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

カクマ難民キャンプ設置の住民側の影響は以下のとおり。1)カクマ周辺住民の治療環境の多元化:キャンプの病院・診療所への依存が高まり医学用語の定着がみられる。同時に流入する人びとを患者とする外来の治療者-マッサージ師、薬売り、音楽治療者、移動治療者-が流入してきた。近年、医療と民間治療の棲み分けが明確化してきている。2)「糞肛門」の出現:干ばつ以来の食生活の変化はトゥルカナの主食をミルクからトウモロコシへ変わった。それにあわせて、身体の不調を干ばつによる食生活の変化に帰する新しい病気、「糞肛門」があらわれた。この病気を治療するマッサージ師の多くが干ばつなどによって追われてきた人びとであることがみいだされた。3)トゥルカナと難民との交流:(1)贈り物の交換による友情、(2)婚姻関係があった。トゥルカナは対人関係において、他者をそこにいて代替不能な"あなた"の位置に置こうとする。それが難民との関係形成に重要な働きをしていた。4)携帯電話の普及:それによると、携帯は牧畜民の既存の人間関係を固定化、強化する反面、対面場面での関係形成の柔軟性を損なう可能性があることが示唆された。牧畜民への携帯普及はまだまだであるが、近代化における牧畜民的自己の変容というテーマが浮上した。
著者
大倉 韻 守 如子 羽渕 一代
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.11-32, 2019-03-31

本稿は、2011年に行われた第7回青少年の性行動全国調査(JASE)のデータに基づき、日本の若者の性行動の現状を明らかにすることを目的としている。この調査は、7640人から回答を得ており、若者が性的関心をもたなくなってきたのはなぜかといった問題に焦点をあててきた。本稿は、この調査の項目のうちから、「あなたがいま、性について知りたいことは何ですか」という質問に着目して分析を行った。分析から得られた第一の結果は、性情報のニーズは、性別と学校段階によって、いくつかのタイプに分けることができるという点である。第二の結果は、性情報のニーズは、「性行為と妊娠」「性的な悩み」「性病」「恋愛」という4つのカテゴリーに収斂していくプロセスとみることができるという点である。特に、日本の若者にとって、「セックス(性交)」は、恋愛としてよりもむしろ妊娠に関わるものとして意識されているということ、その一方で性交によって生じる別種のリスクである「性感染症」や「エイズ」のリスクは性交とは独立したものとして意識されていることが明らかになった。また、第三に、性的関心が性情報ニーズと正の相関がみられたことから、性的関心が性情報ニーズに強い影響を与えていることが明らかになった。
著者
成田 凌 羽渕 一代
出版者
弘前大学人文社会科学部地域未来創生センター
雑誌
地域未来創生センタージャーナル (ISSN:24341517)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.49-60, 2021-02

本稿の目的は、「地方」に暮らす若者たちの定住意向とその要因について検討することである。地域社会の「3層構造モデル」を参考に、とりわけ居住歴と現住地での定住希望との関連、および「地方」でもより条件不利な地域と都市的な地域における差異に着目した。 分析の結果は次のとおりである。居住歴については、条件不利地域圏と地方中枢都市圏ともに、他出経験なしの「土着(定住)層」が約25%であった。U ターンの「還流層」は条件不利地域圏が、Iターンの「転入層」は地方都市中枢拠点都市圏の方が多かった。また、これら居住歴と基本属性との関連を確認すると、条件不利地域圏では①高学歴で高収入の転入層と②低学歴で不安定な就業状態の土着(定住)層に分かれていること、地方中枢拠点都市圏では既婚、低学歴、正規と家事・無業で転入層が多いことがわかった。 現住地域での定住を希望する割合については、条件不利地域圏(51.6%)よりも地方中枢拠点都市圏(70.5%)の方が高かった。両地域とも共通して男性であること、地域満足度が高いこと、現住地域で友人が多いこと、居住地域の志向と現住地域の都市規模が合致することが、現住地域における定住意向と関連することが明らかになった。
著者
山田 昌弘 須長 史生 谷本 奈穂 施 利平 羽渕 一代 土屋 葉
出版者
東京学芸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

本研究では、現代日本社会での夫婦関係のあり方を分析するために、離婚研究者に対するインタビュー調査、及び、30才から59才までを対象とする質問紙調査を東京と大阪で実施した。質問紙調査では、離婚対象者のみの質問を質問票に組み込むことによって、離婚対象者に対するランダムサンプリングデータを得た。分析による知見は、主に三つにまとめられる。一つは、日本の夫婦関係の現状に関してのものである。日本の夫婦関係において、40年前の調査結果と比較しても、一緒に出かけるなど共同行動は相変わらず低調である。これは、セクシュアリティーに関してもいえる。しかし、共同行動が少なく、セックスレスだからといって、夫婦の関係性が希薄だと結論づけることはできない。日常会話や困ったときに助け合うなど、愛情を直接表現し合うこととは別の形での愛情関係が維持されうることが分かった。次に、恋愛感情と結婚生活における愛情が分離している様相が観察された。意識において、恋愛感情と結婚を別立と意識している傾向が強まることが分かった。行動においても、カップルを壊すことなくカップル外の親密関係を作るケースが相当数いることがわかる。以上のように、近年の離婚急増を、「夫婦の愛情関係が変化した」という点に求めるという仮説は成り立たないように見える。むしろ、離婚や結婚をめぐる環境の変化によってもたらされた可能性が高い。データ分析を行うと、離婚経験者には、配偶者への愛情表現や経済力(女性のみ)への高い期待が見られた。つまり、相手が提供できうる能力以上のものを相手に求めることが離婚につながる大きな原因となっている。愛情表現に関しては、その基準が高まったという仮説も成り立ち、今後の検証にまたねばならない。一方、経済力に関しては、近年の男性の雇用の不安定化によって、男性の経済力が落ちている。離婚相手の経済力に不満があったという女性の割合が高いことによっても裏付けられる。近年の離婚急増の一因は、経済状況の変化によってもたらされたものであり、少子化の原因とも重なるものであると結論できる。
著者
吉井 博明 松田 美佐 羽渕 一代 土橋 臣吾 石井 健一 辻 泉 三上 俊治
出版者
東京経済大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

日韓台の携帯電話及びインターネットの利用実態を調査した結果、日韓台ともにほぼ同じ頃に急速に普及したという点では同じであるが、その利用形態には大きな違いがみられることを実証することができた。また、これらの通信メディアの使い分けは、各国・地域のコミュニケーション文化を色濃く反映する「通信文化」と呼ぶべきものが存在し、それに強く規定されていることがわかった。たとえば、韓国では、携帯電話を通話に使うことが非常に多く、日本では通話よりメールがよく使われている。この背景には、親しい人への連絡手段の選択に際して、相手が置かれている状況への配慮をどの程度すべきかというコミュニケーション文化の違いがある。韓国の場合は、「ウリ」と呼ばれる親しい集団の間では、遠慮をすることがあってはならないという文化があり、通信手段の選択に関しても遠慮しないことが求められ、その結果、リッチネスが高いメディアである、通話が積極的に使われる。これに対して日本では、親しい人への連絡に際しても、相手への配慮を欠いてはいけないとする「抑制」のコミュニケーション文化があり、このためメールが多用されるのである。また、日台の携帯電話利用の比較をしてみると、もっとも大きな違いは、利用の効用として「家族とのコミュニケーションが増えた」ことをあげる人の割合が日本では少ないのに対して、台湾では非常に多いことがあげられる。携帯電話利用がその社会でもっとも親しい集団の凝集力を強化する働きがあるという点では共通しているが、それがどの集団化ということになると、台湾では家族であり、日本ではふだんよく会う友人集団、韓国では「ウリ」という仲間集団ということになるのである。以上述べたように、日韓台の比較調査により、それぞれの国や地域に固有な通信文化が存在し、それが携帯電話を含む通信メディアの使い分けを規定していることがわかった。
著者
作道 信介 羽渕 一代
出版者
弘前大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

ホールド仮説とは、戦後青森県において出稼ぎが「地域を形成し人を留め置く力」として働いたという仮説である。本研究はホールドの実態を下北半島の漁村での生活史調査によって検討した。出稼ぎ者は高賃金を求め、縁故就労によっておもに土木作業に長期継続で稼働した。出稼ぎ維持の背景には経済的動機だけではなく、漁業への愛着、職場での重用、仕事の魅力、出稼ぎを組み込んだ人生設計といった心理的要因があることがわかった。
著者
浅野 智彦 川崎 賢一 羽渕 一代 岩田 考 辻 泉 川崎 賢一 岩田 考 羽渕 一代 辻 泉
出版者
東京学芸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

韓国・ソウル市および東京都杉並区において16 歳から29 歳の男女を対象にパーソナルネットワーク、自発的集団への参加状況、社会的参加、政治的参加の各領域について量的調査を行った。その結果を統計的に分析した結果、集団所属の多元性および親密な友人関係が社会的参加・政治的参加を促進すること、ソウルとの比較において東京の若者が学校外の活動において不活発であることが明らかにされた(なお高校段階での部活については、社会的参加・政治的参加との関連がみられなかった)