著者
桐越 舞
出版者
北海道言語研究会
雑誌
北海道言語文化研究 (ISSN:18826296)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.31-45, 2011-03-30

本稿は、日本語共通語における韻文(俳句、短歌)の音読資料を音響音声学的に考察したものである。リズムは時間軸に深く関係するプロソディ要素であるという立場をとり、時間長に特化した分析を試みた。韻文において「句頭子音から次の句頭子音まで」という、ポーズも含むまとまりを韻律フレームとして仮定し、韻律フレーム同士の組み合わせを観察した結果、俳句と短歌それぞれに特有の韻律フレーム型がみられることが明らかになった。俳句では等間型、長短型、短長型の3 つの型が、短歌では長短長短型、短短長短型の2 つの型が観察された。1 番目と2 番目のみの韻律フレーム型の出現頻度をみると、俳句は等間型が全体の56.4%を占め、次いで長短型が27.6%、短長型が16.0%であった。一方、短歌は長短型が77.0%、等間型が23.0%であり、五七五という同様の構成を持つ俳句と短歌でも、各韻律フレーム型の出現頻度は異なっていた。このような特徴は聴覚印象ではっきりと区別可能なレベルの現象ではないと思われるが、この特徴こそが俳句らしさ、短歌らしさを印象づけるひとつの要素になっているものと推察される。

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「韻文の言語リズムにみられる韻律フレーム型」(桐越舞, 2011) https://t.co/t58rsmC5LT

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