著者
大西 俊弘
出版者
愛知教育大学大学院・静岡大学大学院教育学研究科共同教科開発学専攻(後期3年博士課程)
雑誌
教科開発学論集 (ISSN:21877327)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.117-125, 2018-03-31

三角形の3つの頂点のうち、2つの頂点を固定し、もう1つの頂点をある曲線上で動かしたとき、三角形の5心がどのような軌跡を描くかについては、古くから考察されてきた。しかし、内心や傍心については、特別な場合を除いては、軌跡が2次曲線などになることがないため、代数的な方法で軌跡を求めることは困難である。近年、動的幾何ソフトが発達し、軌跡を描くだけでなくその方程式も求められるようになってきたが、内心と傍心の軌跡の方程式を求めることはできない。本研究では、曲線上を動く点から内心や傍心への座標変換式を求め、その逆変換式を利用することで、軌跡の方程式を求めることに成功した。その座標変換式は複雑な形となるが、頂点が楕円や双曲線上を動く場合について考察することにより、内心と3つの傍心の間には美しい関係が存在することを明らかにした。その結果は、頂点が動く曲線の種類を問わず、普遍的なものである。本研究は、SSH校等で実施予定の「理数探究」向けの教材開発を目指すものである。

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