- 著者
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中沢 志保
- 出版者
- 文化学園大学
- 雑誌
- 文化学園大学紀要. 人文・社会科学研究 (ISSN:09197796)
- 巻号頁・発行日
- vol.20, pp.35-55, 2012-01-31
本稿は,20世紀前半期のアメリカにおいて主要な対外政策の立案と決定に関与したヘンリー・スティムソン(Henry L. Stimson)を引き続き考察するものである。本稿では,ファシズムの台頭を背景にアメリカが第二次世界大戦に参戦していく過程と,ローズヴェルト(Franklin D.Roosevelt)政権下の陸軍長官に就任し,戦争計画において中心的な役割を果たしたスティムソンの思想と行動に焦点を合わせる。具体的には,1930年代から明確に示された枢軸国への警告,連合国側への軍事援助を参戦前から可能にした武器貸与法(the Lend-Lease Act)の成立と運用,対独戦における主要な戦略と評価される第二戦線の形成などの内容を振り返り,それぞれにおいてスティムソンが果たした役割を検証する。第二次世界大戦の後半期から重要課題として浮上してくる原爆の開発と投下決定,核の国際管理,戦後処理,対ソ連外交などの問題に関しては次の研究課題としたい。