著者
大前 敦巳
出版者
上越教育大学
雑誌
上越教育大学研究紀要 (ISSN:09158162)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.31-47, 1997-09

小論は,フランスの大学人学資格に相当するバカロレア試験を主題に取り上げ,近年の改革に伴う試験の内容と,その準備のために望ましいと考えられている勉強法について検討する。バカロレア試験の実施過程にはリセの教員が多く動員され,またほとんどの試験は授業内容に関連した論述と口述からなるため,バカロレアの主たる試験準備の方法は,リセの授業で受けた内容の復習を行うことが中心になる。復習のために推奨される最も一般的な方法は,授業でノートに記入したことをカードに整理することである。さらに,模範解答集や模擬試験の問題を解くことを通して,過去に作成したカードを補足・修正することが勧められる。フランスでもバカロレア受験がユニバーサル化したのに伴って,日本の受験勉強に見られるのと同様の問題が指摘されている。今日の進学競争について論じるためには,高等教育の大衆化という多くの国に共通の現象を踏まえた上で,各国に固有の問題を明らかにしていくことが重要であると考える。

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