著者
岡部 光明

大学は、先端研究を担うほか、将来における一国の中核的人材を養成する社会的組織である。そのあり方を考える場合には、学生が大学で学び身に付けるべきことは究極的に何なのか、そしてそれをどのようにして学生に身に付けさせるべきか、という二つの原点に立ち返って考えることが大切である。本稿は、筆者の国内外で大学教育に関わった体験、ならびに関連する学問領域(教育学、心理学、人格形成論、経済学など)の動向を踏まえて大学教育のあり方を考察したものである。その結果、(1)大学教育の目標は三つ(日本語力、インテグリティ、向上心)に集約できる、(2)そうした整理の仕方は関連する学問分野の最近の研究動向(批判的思考力や非認知能力の育成重視)に照らしても整合的といえる、そして(3)そうした視点とその実践結果は筆者が接してきた学生諸君の声からも支持されている、などを主張した。

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