- 著者
-
岡部 光明
大学教育の目標は、日本語力、インテグリティ、向上心の三点に集約できることを別稿(岡部:2018)で指摘した。本稿は、リベラルアーツ教育という観点からその発想を評価するとともに、そうした目標を達成するにはどのような学習方法と制度的な仕組みが相応しいかにつき、国内外の3つの大学における教育のあり方に照らして考察した。その結果、(1)上記3 目標はリベラルアーツ教育という観点にも合致している、(2)その教育効果を挙げるには「講義+少人数クラス(ゼミや研究会)」という制度がふさわしく、この点を含めて米プリンストン大学の学部教育に学ぶべきことが多い、(3)大学教育においては仲間と共に学ぶという環境(人間的きずなの形成)が在学時だけでなく卒業後の人生にとっても大切である、(4)日本の大学生の学習時間はアメリカ等の大学生に比べて著しく少ないが、その理由は大学教育が本来どうあるべきかが日本では正面から問われることがなかったことを反映しているので、いまその根本的な議論が必要である、などを主張した。