著者
金沢 吉展
出版者
明治学院大学心理学部付属研究所
雑誌
明治学院大学心理学部付属研究所年報 = Annual Report of the Meiji Gakuin Institute for Psychological Research (ISSN:18827241)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.33-41, 2018-07

日本の心理職にとって長年の懸案であった法的資格である公認心理師法が制定された。しかしこの法律および関連する制度について,海外の同種の資格と比較すると様々な課題が指摘される。公認心理師に求められる知識・技術,ならびに業務の定義が曖昧であることにより,今後の混乱が懸念される。資格試験受験資格が大学院修了ではなく学部卒も含まれていること,資格更新制度が採用されていないことは,資格制定の目的である一般市民の保護に資するのか,疑問が提示される。卒後教育が必要であることは当然であるが,全国で充実した卒後教育を受けられるようなシステム作りが必要である。法的資格取得後の公認心理師の質向上について,関連する学会や職能団体が果たす役割は大きいと言える。

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