著者
川上 和人 森 英章
出版者
東京都立大学小笠原研究委員会
雑誌
小笠原研究年報 (ISSN:03879844)
巻号頁・発行日
no.43, pp.121-135, 2020-06-30

小笠原諸島の西之島は太平洋に孤立した無人の海洋島である。この島で2013年から生じた火山の噴火と溶岩の流出による撹乱が自然環境に与えた影響と現在の島の自然の状況を明らかにするため、2019年9月に上陸調査を伴う総合学術調査が実施された。その結果、噴火の影響で島から個体群が消失した生物種が明らかとなるとともに、新たに生じた陸地への生物の拡散の状況が把握された。また、2017年に出現した溶岩の化学特性が明らかになり、地震・空振観測機器の設置により、噴火に伴う変化の遠隔把握が可能となった。今後は長期的なモニタリングにより西之島の自然の持つ価値をより明確にしていくとともに、保護担保措置をとり適切に管理していく必要がある。

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