著者
苅部 治紀 森 英章 加賀 玲子
出版者
東京都立大学小笠原研究委員会
雑誌
小笠原研究年報 (ISSN:03879844)
巻号頁・発行日
no.44, pp.23-41, 2021-06-30

アニジマイナゴは、2011年に小笠原諸島固有属種として記載された種で、父島列島兄島のみから知られている。この種は一般的なイナゴ類と異なり、樹木であるシマイスノキのみを採餌する。本報告では、筆者らの調査でこれまでに明らかになった野生下での生態、生活環について記述する。本種は日中タコノキの葉鞘に潜み、周囲の食樹シマイスノキの間を往来し、タコノキをねぐらのように利用している可能性がある。このような行動は夜間に見られ、夜行性であること、幼虫の孵化と成長の追跡状況から年1化であることが明らかになった。一方、近年のグリーンアノールの兄島における増加で、同種の個体密度が増加した地域では姿を消している。
著者
森 英章 岸本 年郎 寺田 剛 永野 裕 苅部 治紀 川上 和人
出版者
首都大学東京小笠原研究委員会
雑誌
小笠原研究 = Ogasawara research (ISSN:03868176)
巻号頁・発行日
no.46, pp.95-108, 2020-03

2019年9月、西之島において、初めて専門家による陸上節足動物の上陸調査が行われた。2013年より度重なる火山活動によってほぼすべての地域が溶岩に覆われた一方、一部草地が残された。定量調査と定性調査を並行して実施し、旧島部に残存する節足動物を確認するとともに、新たに形成された大地への進出状況を明らかにすることとした。4綱15目28科33種の陸上節足動物を確認した。うち21種は同島から初めて確認された。既存の記録を加えるとこれまでに西之島から確認された陸上節足動物は少なくとも44種となる。特に2013年噴火後に新たに形成された植生のない溶岩台地において海鳥の死体下よりトビムシ、ササラダニ等の土壌分解者が発見されたことは一次遷移の過程に関する新たな視座を提示するものである。一方、外来種であるワモンゴキブリが残存していることが確認され、対策の実施が望まれる。トラップを用いた定量調査も行われたことにより今後の継続的なモニタリングの基礎情報となる。
著者
上條 隆志 廣田 充 川上 和人 森 英章
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース 第131回日本森林学会大会
巻号頁・発行日
pp.800, 2020-05-25 (Released:2020-07-27)

西之島は、小笠原諸島父島の西約130kmに位置でする火山島である。1973~1974年に噴火し、2013年から2019年に至るまで断続的に噴火している。特に2013年以降の噴火では大きく面積を拡大した。このように現在の西之島は、そのほとんどが新たに成立した生態系であり、孤立した生態系が回復してゆくプロセスを観測するのに極めて適している。本研究では、このような西之島において、新島(一部に旧島部分が残存)における初期状態を記録し、今後のモニタリングの基礎を作ることを目的とした。現地調査は2019年9月に実施した。調査は、上陸できた西側と南西側の浜の2地域で行い、踏査による植物の確認と、10m×10mの方形区(5地点)の設置により行った。現地調査の結果、オヒシバ、スベリヒユ、イヌビエの3種の生育を確認した。なお、2008年時点では、これら3これら3種に加え、グンバイヒルガオ、ハマゴウ、ツルナの3種が生育していた。現在確認できる3種の分布は主に旧島部分であるが、オヒシバとスベリヒユについては、旧島部分の直下の海浜にも分布を広げていることが確認された。その一方で、2013年以降に堆積した溶岩上では、これら植物の生育は確認できなかった。
著者
川上 和人 森 英章
出版者
東京都立大学小笠原研究委員会
雑誌
小笠原研究年報 (ISSN:03879844)
巻号頁・発行日
no.43, pp.121-135, 2020-06-30

小笠原諸島の西之島は太平洋に孤立した無人の海洋島である。この島で2013年から生じた火山の噴火と溶岩の流出による撹乱が自然環境に与えた影響と現在の島の自然の状況を明らかにするため、2019年9月に上陸調査を伴う総合学術調査が実施された。その結果、噴火の影響で島から個体群が消失した生物種が明らかとなるとともに、新たに生じた陸地への生物の拡散の状況が把握された。また、2017年に出現した溶岩の化学特性が明らかになり、地震・空振観測機器の設置により、噴火に伴う変化の遠隔把握が可能となった。今後は長期的なモニタリングにより西之島の自然の持つ価値をより明確にしていくとともに、保護担保措置をとり適切に管理していく必要がある。
著者
森 英章 岸本 年郎 寺田 剛 永野 裕 苅部 治紀 川上 和人
出版者
首都大学東京小笠原研究委員会
雑誌
小笠原研究 = Ogasawara research (ISSN:03868176)
巻号頁・発行日
no.46, pp.95-108, 2020-03

2019年9月、西之島において、初めて専門家による陸上節足動物の上陸調査が行われた。2013年より度重なる火山活動によってほぼすべての地域が溶岩に覆われた一方、一部草地が残された。定量調査と定性調査を並行して実施し、旧島部に残存する節足動物を確認するとともに、新たに形成された大地への進出状況を明らかにすることとした。4綱15目28科33種の陸上節足動物を確認した。うち21種は同島から初めて確認された。既存の記録を加えるとこれまでに西之島から確認された陸上節足動物は少なくとも44種となる。特に2013年噴火後に新たに形成された植生のない溶岩台地において海鳥の死体下よりトビムシ、ササラダニ等の土壌分解者が発見されたことは一次遷移の過程に関する新たな視座を提示するものである。一方、外来種であるワモンゴキブリが残存していることが確認され、対策の実施が望まれる。トラップを用いた定量調査も行われたことにより今後の継続的なモニタリングの基礎情報となる。