著者
宗像 武彦 MUNAKATA Takehiko
出版者
創価大学通信教育部学会
雑誌
通信教育部論集 (ISSN:13442511)
巻号頁・発行日
no.24, pp.127-139, 2021-08-09

新学習指導要領が告示され、現場で施行されている。その趣旨と流れは一人一人が主体的に対話的に深い学びをしつつ、新たな社会の価値を創っていく教育であり、本学創立者池田大作(「池田」と書く)の「人間教育」の考えと同じ方向であると考える。その新学習指導要領の趣旨は、「人間教育」を進めることでより充実した実現が図られると考えている。それはどのような教育なのか。 筆者は、本学で学び小学校の教壇に立ち教職の道を歩んできた。本学は、『創価教育学体系』(以下『体系』と述べる)を著した牧口常三郎が創始者である。その『体系』では「教育の目的は、子供の幸福」といわれ、その幸福とは自己と他者の幸福の確立であり、そこから自分の人生を切り拓き、様々な困難を受け止め、そこから新たな価値を創造していくことを「創価教育学」として打ち立てた。それをもとに、「池田」は、本学の三つの指針の中に「人間教育の最高学府たれ」といわれ、人間教育を目指す取り組みの大事さを示されている。 この「人間教育」を「池田」は、教育ではなく「人間教育」の言葉を使われている。本来教育は人間の営みで教育でもいいと考えるが、人間第一に大事にする教育することを根幹にしていくために「池田」は「人間教育」と表現したと考えている。筆者は、現在まで小学校や小中一貫校の現場で34年間教育に携わってきた。本学の卒業生として、一人一人の児童生徒とのかかわりと育みを第一に「人間教育」の実践を心がけてきた。その実践の根幹は、一人一人の児童生徒が自ら立って律していくことが未来に向かって生きていく力になることであり、その力は「自尊感情」であり、その育みのためには「人間教育」の基本となると考え教育の実践をしてきた。 では、その「自尊感情」とは何か。それが教育上どのような役割を持つのか。「自尊感情」は心理学的分野だが、教育上大事な分野ととらえつつ、学校現場での実践と文献の特徴的なものを取り上げ「自尊感情」とは何かを明らかにしていく。さらに、「人間教育」と「創価教育学」との関係から「人間教育」と「自尊感情」がどうかかわっているのか、具体的な実践から明らかにしていく。

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