著者
吉川 眞理 Mari Yoshikawa
出版者
学習院大学人文科学研究所
雑誌
人文 (ISSN:18817920)
巻号頁・発行日
no.10, pp.103-118, 2012-03-28

ユングのパーソナリティ理論はフロイトの精神分析理論に大いに触発されて発展した。意識と無意識に関するパーソナリティ理論として、タイプ論と個性化の理論は、心を自然の一部としてとらえる点にその独自性がみとめられる。ユングによれば、心の理論は生命にあふれた自然であり、心のダイナミズムは生命的要素に基づくものであった。本研究では、ユングのパーソナリティ理論や研究を、自然や生命論に由来するダイナミズムの観点からとらえることを試みる。そこで以下の二点が明らかになった。第一に彼のパーソナリティ理論において無意識の補償作用が重要な役割を果たしている。第二に、タイプ論と個性化理論は共に、個人がその人生において独自性を生きることを重要な目的としている。ユングのパーソナリティ理論においては、意識と無意識に関する理論、タイプ論、個性化理論が相互に関連しながら、自我中心主義を超越して、意識領域と無意識領域からなる本来の自分自身の実現に向かう動きを論じている理論体系である。

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『ユングは、外向/内向が環境に対する意識の選択や 学習により生じたものでなく、何らかの生物学的要因によって生じていることを推論している。つまり、決定的要因は生まれ持っている素質とされるが、時にたとえば母親の構えが極端である場合、 https://t.co/03BPu6ihGl

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