著者
吉田 敦彦 Atsuhiko Yoshida
出版者
学習院大学東洋文化研究所
雑誌
調査研究報告 (ISSN:09196536)
巻号頁・発行日
no.31, pp.50-70, 1990-03

昔話の中で山姥は、自分の身体からさまざまな財宝などを排泄したり分泌していくらでも出せる、不思議な力をもち、また死ぬと死体からも、財宝や作物などが発生するように、物語られてきた。これは記紀に記された作物起源神話の主人公の神たちが、やはりさまざまな御馳走を、身体からいくらでも排泄したり分泌して出せた上に、死体から作物などが発生したと語られているのと似ている。殺されると死体から作物が生え出る、地母神的豊穣女神は、わが国で縄文時代の中期にはすでに信仰され、その姿を土偶や土器に表現されていた。昔話の中の山姥は、土偶や土器から窺えるこの縄文時代の地母神の性質を1さまざまな面でびっくりするほどよく受け継いでおり、古い女神が民間伝承の中で不気味な妖怪に変化したものと目せる。

言及状況

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@hanahana182 いえいえ、やなぎさんのお話に興味を引かれてちょっとググッただけなので…。 追記されていたツイートを見たのですが、検索結果に一緒にでてきてた資料の方が文脈が近い気がしたので一応そちらも貼っておきます。 https://t.co/fV9W6io1YZ
https://t.co/dxzMalHyGv

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