著者
並松 信久
出版者
京都産業大学
雑誌
京都産業大学論集. 社会科学系列 (ISSN:02879719)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.21-49, 2018-03

食糧管理制度は,戦時下であった1942(昭和17)年の食糧管理法の制定から,約半世紀にわたり,わが国の食糧政策の根幹であり続けた。本稿はその起源を戦時体制下の食糧政策に求め,今日も続く自給をめぐる管理体制の問題を明らかにした。 1939(昭和14)年の朝鮮大旱魃をきっかけとして,わが国の食糧管理体制が構築された。この体制は外米輸入や消費規制を重視したが,食糧の供給不足が続くなかで,農林省は農家保有米の制限や配給の導入を行なった。それとともに外貨を流出せずに外米を輸入できる仕組みを整え,供給不足の解消をめざした。さらに1941(昭和16)年に食糧管理局が設置され,日米開戦後に食糧管理法が制定された。 しかし戦局の悪化に伴い,外米輸入や朝鮮・台湾からの移入が困難となった。農林省は国内自給を訴えたが,食糧管理体制は脆弱性を露呈した。この体制の維持には,農家の供出が重要となったが,その完遂は容易ではなかった。 終戦直後,食糧管理局はGHQ に対する食糧輸入の懇請を行なった。GHQ は食糧輸入を通して,日本の食糧管理に深く関与したが,国内自給を最も重視した。このためにGHQ は,食糧管理局主導の食糧管理強化を許容せざるをえなかった。これによって食糧管理局は戦後も食糧管理体制を存続・強化することになった。これが現在も続く自給率向上の強調へとつながっていった。

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一番みた資料 「わが国の水田農業をめぐる諸問題(1)」 https://t.co/jQFUiOW3z7 防風林「戦前戦後の食料自給率【2019年8月3週号】」 https://t.co/fba59kN73y 陸軍は米輸入じゃなくて兵器購入に外貨を使いたがったのでグダった話他 https://t.co/2pKuz9V9ks

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