著者
木村 成介 川勝 弥一
出版者
京都産業大学
雑誌
京都産業大学論集. 人文科学系列 (ISSN:02879727)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.161-181, 2016-03

代表的な京野菜に水菜と壬生菜がある。水菜は深い切れ込みのある葉(切葉)をもち,壬生菜は葉縁が滑らかでヘラのような形の葉(丸葉)をもつ。両者は葉の形からすると全く関係ない植物のように見えるが,同一種であり,江戸時代に壬生地方において水菜から生じた新品種が壬生菜であると言われている。これまで,水菜の切葉から壬生菜の丸葉への変化が,どの時期にどのようにおこったのか,また,葉形変化の原因については明らかとなっていなかった。本論文では,江戸時代から明治時代に書かれた農書や本草書の記述をもとに,壬生菜の丸葉の成立過程について調査し,壬生菜という呼称が葉の形が丸葉に変化する前の18 世紀後半から使われ始めていたことや,19世紀の中頃に壬生菜の丸葉が成立したことを明らかにした。また,水菜とカブ類との交配が丸葉成立の要因ではないかと推察した。

言及状況

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この研究について、京都産業大学にリリースが出ていた。 https://t.co/FEIKOGMm58 あと、京都産業大学論集「水菜と壬生菜の来歴について」2016年 https://t.co/iXrmxiCbHg では、壬生菜の形態に触れた古典籍の一覧やその図が載っている。ミブナがいつから丸くなったのかをたどっていくおもしろさも。

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